マジで言ってますよ?

 オジサマの細工の仕事は、デクスタリティポーションの助けもあって無事に終わったそうです。


 スーザンちゃんが教えてくれました。




「今後も必要ならデクスタリティポーションの注文を受け付けます。そうオジサマに伝えてね」




「うん、分かった! ありがとう、フーレリアお姉ちゃん!」




 元気一杯な返事とともに、スーザンちゃんはお向かいさんに帰っていきました。


 最近は職人街の子供たちと遊ぶことも増えてきて、毎日が楽しそうですね。


 同年代の友達が出来たのは良かったです。




 え、私ですか?


 いやあ、お察しの通り友達と呼べる人はカミーリアくらいですね。


 学院時代は古代語の書物の解読に時間をつぎ込んでいましたから、交友関係は壊滅的なのです。




 つくづく王太子の妻、将来の王妃にならなくて良かったと思っていますよ。


 私じゃ務まりませんからね。




 そういえば王太子といえば、どうやら神殿の聖女と婚約したという話を聞きました。


 民衆から愛されている聖女がお相手なら、この国の将来も安泰でしょうね。




 * * *




「本体、乾きの石を発見しましたよ!」




「え、本当ですか!?」




 西の果てにあるトマゾ大砂漠から〈テレポート〉で帰還したドッペルレリアが手にしている石は、確かに〈アナライズ〉した結果、乾きの石だと分かりました。




「砂漠からこの石を探すのがどれだけ大変だったか……本体、恨みますよ」




「お、おう。お疲れさまでした。ところで乾きの石はひとつだけですか?」




「は?」




「いやだって……無限水環はよっつあるじゃないですか。乾きの石もよっつ欲しいなって」




「マジで言ってますか?」




「マジで言ってますよ?」




「……もう一度、行ってきます」




「少しは休憩していったらいいのに」




「当たり前ですよ! 休憩してから行くという意味です!」




「あ、はい。それなら良かったです。シュークリーム、食べますか?」




「いただきます」




 ドッペルレリアは旅の疲れを癒やしてから、再びトマゾ大砂漠へと舞い戻っていきました。


 いやあほんとドッペルゲンガー様様ですねえ。




 * * *




「本体、永久氷片を発見しましたよ!」




「え、本当ですか!?」




 北の果てにある氷の大地から〈テレポート〉で帰還したドッペルレリアが手にしている氷は、確かに〈アナライズ〉した結果、永久氷片だと分かりました。




「氷だらけの中からこの永久氷片を探すのがどれだけ大変だったか……本体、恨みますよ」




「お、おう。お疲れさまでした。ところで永久氷片はひとつだけですか?」




「は?」




「いやだって……無限水環はよっつあるじゃないですか。永久氷片もよっつ欲しいなって」




「マジで言ってますか?」




「マジで言ってますよ?」




「……もう一度、行ってきます」




「じゃあ行く前にシュークリームでも食べて英気を養ってくださいね」




「いただきます」




 ドッペルレリアは旅の疲れを癒やしてから、再び氷の大地へと舞い戻っていきました。


 いやあほんとドッペルゲンガー様様ですねえ。

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