第26話 二択ですか?

「では! 緊急会議を始める!」


 アースさんの司会で、ヴァレン町の緊急会議が始まった。


 参加者は、町民全員だ。


「既に分かっているように、俺達は、領主・・に敵対してしまった。これは、王国に対しても敵対した意味になる」


 皆に重い空気がのしかかった。


「既に、俺らは王国の敵になっている。そこで、俺から二つ提案がある」


 それからアースさんから二つの提案がされた。




 ◇




 僕は秘密基地に来ていた。


 扉が開くと、二人が入って来た。


「やっぱりここにいたのね」


「よう、アレクくん。こんな所で一人たそがているのか?」


「まあ……な」


 既にシーマくん達にはピエルの事は話してある。


 アイリスちゃんが好きだ――の下りは話してないけどね。


「それで、アレクはどっちにするんだ?」


「う~ん。自由・・の方かな?」


「まあ、今更、王国に媚びを売るのもおかしな話だしな」


 アースさんから提案されたのは、このまま王国に媚びを売り続けて地位を確立する事だった。


 幸い、この町には『ゴミ処理場』があり、大きな力になっているはずだ。


 もう一つの方は、隣国、自由連邦国に行く事。


 自由連邦国に行くと言う事で問題が二つ起きる。


 まず、今でも王国と自由連邦国は戦争中だ。


 間違いなく、王国が敵となり、いずれ敵対する事となる。


 もう一つの問題は、自由連邦国の国内体制だ。


 連邦国は『自由』を掲げているが、その『自由』が問題だった。


 連邦国の理念。


 それは『強者に絶対服従』だ。


 一見、王国と似てると思われがちだが、王国の理念は『国民を守る』である。


 王国の国民であれば、最低限の生活は出来る。


 しかし、このヴァレン町だけは特別嫌われている。


 それは『ゴミ』の集め所だからだろう。



 そんな僕達が自由連邦国に行くとなると……その先、どうなるか分からない。


 なので、僕は『自由』を選ぼうとしている。




 ◇




 次の日。


 広場に全ての町民達が集まっていた。


 皆、それぞれの想いを胸に集まっている。


 そんな中、町長であるアースさんの問いに、一人、また一人、どちらか問われた。


 それぞれの想いで『自由連邦国』か『王国』かを選択している。



 そして、僕達の番になった。


「アレク、お前はどちらを取る」


 僕は一歩前に出て、アースさんに対面した。


「はい、僕は――――――『自由』を取りたいと思います」


「ほぉ……ではアレクは『自由連邦国』を選ぶんだな?」


 僕はアースさんの目を見て、そして、全ての町民達をゆっくり見つめた。


 ――――そして。











「いいえ、僕が選ぶのは、王国でも、連邦国でもありません。『自由』を選びます!」











 僕の言葉に町民達がざわつく。


 アースさんの口元がニヤけた。


「ほぉ……アレクよ。その自由・・とやらについて、説明して貰おう」




 ――――そして、僕は『自由』について、みんなに説明し始めた。


 僕の説明を聞いた全ての町民達は、悩む事もなく、満場一致で『自由』を選んだ。

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