第19話 作戦開始です

 ピーーーーッ


 小さいけど、甲高い音が響いた。


 そう、救出活動開始の合図だ。


「来た、よし。行こうか」


「うん。アレク、頑張ろう」



 そして、僕はシーマくんが捕まっている屋敷を見つめた。


 その距離、約四十メートル程。


 僕はその屋敷に目掛けて、両手を前に出した。


 ――そして。


「スキル、ゴミ召喚!」


 僕の詠唱と共に、屋敷の至る所に『ゴミ』が出現した。




 実は、三日前に取得した『ゴミ収集の強化』のおかげで、ヴァレン町の全てのゴミを三日で集める事が出来た。


 全てのゴミを集めた時、


 - 能力『ゴミ箱』のレベルが上がりました。-


 - 能力『ゴミ箱』のレベル5により、スキル『ゴミ召喚』が強化されました。-



〈ステータス〉――――――――


 能力 - ゴミ箱lv5


 体力 - C

 魔力 - B

 力 - C

 素早さ - A

 精神力 - A

 運 - SS


 [スキル]

 ゴミ収集(強化)

 クリーン

 ゴミ召喚(強化)


―――――――――――――――



 になっていたのだ。


 ゴミ召喚強化により、召喚出来る距離は格段に増えた。


 元々は1メートルくらいしか召喚出来なかった。


 しかし、強化された事によって、その距離が飛躍的に向上し、なんと五十メートルにも及ぶようになった。




 ◇




 屋敷にゴミが溢れかえって、屋敷内はパニック状態に陥った。


 そして、アースさん達四名と、リグレットさんとその仲間三名、計八名の救出隊が突入した。


 きっと、シーマくんを助けてくれるだろう。



 そんな中、一瞬、殺気がした。



 ――やっぱりね。


 そこには以前、屋根の上で僕をした人がいた。


「ほう? あれを喰らってまだ生きているか」


 並々ならぬ殺気が僕を襲った。


「お陰様でね、今ではとても元気ですよ?」


「そうか……ではもう一回殺してやろう」


 くっ、殺気だけでピリピリする。


 そんな中、僕の前をアイリスちゃんが立ち塞いだ。


 実は、今回僕の護衛に志願したのがアイリスちゃんだった。


「そうはさせないわ」


 静かに語るアイリスちゃんの言葉に、相手は眉一つ動かさなかった。


「では、貴様も一緒に葬ってやろう」




 ◇




 アース達はシーマが捕らえられている屋敷に入って行った。


 既に屋敷内にも多くのゴミでごった返していた。


「さすがはアレク、中までたっぷりじゃねぇか」


 アースはそう呟きながら、慣れた手付きでゴミを描き分けながら道を進んだ。


 その後ろを七人も続いた。



「アース、その階段の下にいるはずだ」


 リグレットの声に、アースは階段を見つめた。


 ――そして。


「おい、出て来いよ。そんな所に隠れていても無駄だぜ」


 アースの声に、階段の上部・・から人影が現れた。


「ほお! かの有名な暗殺ギルド、『ロキ』の者か」


「貴様……我々を知っているのか、この場で死んで貰うぞ」


「みんな! あいつは俺が相手する。多分ここにあいつ以外の暗殺者はいないはずだ。シーマを頼んだぞ」


「アース。死ぬんじゃないよ!」


「おう、任せな」




 ――アースと暗殺者の戦いが始まろうとしていた。

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