第18話 準備万端ですか?

 ヴァレン町にある全てのゴミを収集した。


 大型ゴミは今まで収集出来なかったけど、ここ三日かけて走り回って、全て収集した。


 これも全て、町の人達のおかげだね!



 遂にリグレットさんが来てくれた。


 最初来たとき、綺麗になった町に物凄く驚いていた。


 今では、掃除も頑張っているし、皆『クリーン』で綺麗になっているので、ゴミの町の面影すらなかった。




 ◇




 アースさん、マイケル爺さん、僕、アイリスちゃん、そして、戦闘能力を持っている大人三名のハリスさんとミドルさん、グリップさんが集まっていた。


 シーマくんを助けるべく集まった。


 情報を持って来てくれたリグレットさんが口を開けた。


「現在、シーマくんが捕らえられているのは、予想通り、ギャザー町の領主、アブ・ノルマルの隠れ屋敷だったよ」


 ギャザー町の領主?


「ギャザー町は大きいからね、ここら辺一帯の領主様なのじゃ」


 ああ~そういう事か。


「ただ、どうやらシーマくんが特殊な能力を持っているのは分かっているけど、それが何なのかは知らないみたいで、まだ監禁させたままにしているみたいね」


「それは好都合だ、シーマくんが酷い目にあってなければ良いが……」


「取り敢えず、隠れ屋敷で無事は確認されているから、ただあまり悠長には出来ないわね」


「ああ、こちらはリグレットの予想通り、アレクがしっかり強く・・なっている。助けられるはずだ」


 その言葉でリグレットさんが僕を見つめた。


「はい、しっかり強くなりました。シーマくんを……絶対に助け出します!」


「そうかい、分かった。アースがそこまで言うのなら間違いないだろう。今回の件、私にも落ち度はあるから、最後まで手伝うよ」


「なっ!? リグレット、本当に良いのか? 相手は――」


「はーん、関係ないさね。それに、最悪な場合、私もこの町で住むさね。何だか綺麗になっているし」


 アースさんとリグレットさんってどういう関係なんだろうね?


 シーマくんの救出が終わったら、今度聞いてみよう。



 そして、僕達はとある作戦を決めた。


 闇夜に紛れ、ギャザー町に潜んだ。




 ◇




 僕の役目は、かく乱係りになった。


 僕が使えるスキルを使えば、最高のかく乱になるからね。

 

 僕は相棒のアイリスちゃんと一緒に、時がくるまで待機していた。



「ねえ、アレク」


 まだ時間まで数十分あるので、のんびり待っている僕にアイリスちゃんが声を掛けてきた。


「ん?」


「今回の戦いで、もしかしたら――私の能力、使わないと行けないかも知れないの」


 そう言えば、アイリスちゃんの能力、聞いた事なかったね。


「その……もし私が能力を使っても……嫌いに…………」


 アイリスちゃんが俯いた。


「なる訳ないでしょう。アイリスちゃんがどんな能力でも、僕は気にしないよ。だって僕の能力だってそうじゃん」


「ふふっ、でもアレクの能力は凄いじゃない」


「最初はあんなに笑ってたのにね」


「だって、名前が凄いから」


「でもちゃんと受け入れてくれた」


「うん。アレクはアレクだもの」


「アイリスはアイリスだよ」


「――――そっか」


 何もない僕を受け入れてくれたヴァレン町。


 そこで出会った人達。


 友達。


 親友。


 ――家族。


 もう失いたくないんだ。


 だから、シーマくんを絶対に助け出したい。


 でも……。





 ピエルくん……。


 君は今頃、何を思って、何をしているんだろうか……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る