第17話 皆で協力ですか?

 リグレットさんが情報収集をするとの事で、僕達は一度ヴァレン町に戻ってきた。


 それには理由があった。


 実は、リグレットさんには、既に目星が付いてるようだけど、あまりにも強すぎる相手かも知れないとの事だった。


 そこで、僕の『ゴミ召喚』を聞いたリグレットさんは、何か悪い事を思い付いたかのように不敵に笑った。


 そのリグレットさんから、もし相手が彼なら、今のままではどう足搔いても勝てないそうで、それなら強くなるしかないと言われた。


 その中心となるのが、僕のスキル『ゴミ召喚』にあると言われた。


 なので、僕の能力『ゴミ箱』のレベルを上げるため、ヴァレン町に帰ってきた。



 僕の『ゴミ収集』は目の前でしか収集出来ず、大きさも1メートルを越えるモノは収集出来なかった。


 長いモノ収集出来ていたから、恐らく収集する際のの大きさが決まっている感じだ。


 その為、大きいゴミは収集出来ない。


 幾ら手をかざして歩くだけとは言え、収集する速度には限界があった。



 今までレベルを一つ上げるのに一か月程かかっていた。


 毎日一時間程、軽く歩いてだ。


 つまり、高速で収集出来れば、すぐにレベルを上げられるかも知れない。


 アースさんの提案で、町人全員で収集出来るゴミを集めて貰う事になった。


 今までだと処分する為に大型ゴミも集めて貰っていたけど、今回は小型ゴミの限定となった。


 そのおかげもあって、物凄い速度でゴミが集められた。


 僕も出来るだけ広場を走り回りながら、集めてくれたゴミを収集した。



 リグレットさんから言われた期間は十日。


 シーマくん……、ちょっとだけ待っていてくれ。


 必ず助けに行くから。



 それから毎日町人全員で小型ゴミを集めて貰い、僕のレベル上げを手伝ってくれた。



 アイリスちゃんの姿は見えない。


 何故なら「私もレベル上げて来るから」と朝から何処かに出かけているからだ。


 手伝いたかったけど、アイリスちゃんからは一人で問題ないと言われた。


 僕達はシーマくんを助けるため、毎日レベルを上げる日々を送った。




 ◇




 七日目、遂にレベルが上がった。


 そして、とんでもない事が起きた。




 - 能力『ゴミ箱』のレベルが上がりました。-


 - 能力『ゴミ箱』のレベル4により、スキル『ゴミ収集』が強化されました。-



〈ステータス〉――――――――


 能力 - ゴミ箱lv4


 体力 - C

 魔力 - B

 力 - C

 素早さ - B

 精神力 - A

 運 - SS


 [スキル]

 ゴミ収集(強化)

 クリーン

 ゴミ召喚


―――――――――――――――



 今回は新しいスキルではなく、スキル『ゴミ収集』が強化された。


 勿論、たったそれだけだ。


 けれど、たったそれが、とんでもない事を引き起こした。


 どれくらい強化されたのかなと試してみた結果、今までの『ゴミ収集』と比べものにならないくらいに凄まじかった。



 まず、距離。


 今までは殆ど、目の前にしか収集出来てなかった。


 距離で言うと、1メートル程だった。


 それが、今ではその二十倍にも達していた。


 20メートル程先のゴミが収集出来た。



 そして、最も大きいのは、大きさだった。


 今まで収集出来る大きさは、直径1メートル程しかなかった。


 それが今では、良く分からない。


 何故、良く分からないか。


 収集出来ないゴミがないからだ。


 とんでもなく大きいゴミもしっかり収集出来た。


 五メートル程の大きさでも収集出来たけど、それ以上大きいゴミも収集出来そうだった。



 僕の『ゴミ収集』が強化され、ヴァレン町は変貌を遂げる。


 事件から十日目。


 リグレットさんがヴァレン町に来た頃には――



 ヴァレン町にゴミは一つ・・なく、綺麗な町になっていた。

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