第12話 剣士ですか?

「スキル『クリーン』!!!」


 僕の詠唱で、ピエルくんとシーマくんが泡に包まれた。


 スキル『クリーン』の良いところは、人だけでなく着ている服までピカピカになるところだ。


 うん、これなら二人とも、町に出かけても大丈夫だね!


 そして、僕も自分自身にスキル『クリーン』を掛けた。


 いつぶりかの綺麗な体になった。


 ここに来た頃のような――。



「よし、お前達、準備はいいな?」


「「「はい!」」」


「必ず、隣町の雑貨屋『ネツ・ゾウ』に持って行くんだぞ? 俺からの紹介で町から来たと言えば分かるはずだ」


「「「はい!」」」



 アースさんから教えて貰った店に向う為、僕は初めてヴァレン町を離れた。


 どうやら雑貨屋で宝石が高値で売れるようだ。


 盗まれたりしたら危ないので、貴重品はまた僕の『箱』の中に入れておいた。


 一度『箱』に入れたモノは、貴重品と分かるようになっても、再度入れる事が出来るようだ。


 『収集済み』が付与されると、経験値が得られなくなる変わりに、いつでも箱に入れ直せるから良かった。



 準備が終わり、僕達は隣町の『ギャザー町』に向かって出発した。


 何だか、初めての冒険みたいでワクワクするね!




 ◇




「なあなあ、アレク」


「うん?」


 ピエルくんがニヤニヤしながら、僕に寄り添った。


「隣町に綺麗なお姉ちゃんいるかな?」


 あ~、うん。


「いるんじゃない? 大きい町らしいし」


「お前達な~、僕達は遊びに行くんじゃないぞ」


「シーマ、お前は固すぎるんだよ! 良いじゃねぇか! ちょっとくらい」


 ピエルくんとシーマくんが揉め出した。


 二人とも、幼馴染で仲が良いんだか、悪いんだか……。



 そんなやり取りとしながら、歩いていると――



 キシャァァァァァ!



 と声と一緒に、醜い緑小人が現れた。


「――ッ! ゴブリンか! シーマ、アレク、気を付けろよ」


「「分かった!!」」


 ゴブリン三匹が現れ、僕達の中で唯一、戦える能力を持っているピエルくんが素早く前に立った。


 ピエルくんは腰にぶら下げていた剣を取り出した。


 最初に一匹のゴブリンが嗾けてきた。



 シャァァァァァ!


「っしゃおらぁぁぁ!」


 ゴブリンの動きに合わせて、ピエルくんの剣が先にゴブリンの首を刎ねた。


 それを見たゴブリン二匹が同時にかかってきた。


 僕は急いで『デッドゴミ』を取りだし、左側のゴブリンに投げた。


「ナイスフォロー! アレク!」


 その隙に、ピエルくんがもう一匹を斬って倒した。


 『デッドゴミ』は無駄に硬いから投げ石用に良いかも知れない。



「ピエルくん、お疲れ様~」


「おう、アレクもナイスだったぜ」


 ピエルくんと僕は拳を合わせた。


 うん、やっぱり友達って良いね!



「しかし、ピエルくんは流石に強いね!」


「そりゃ、俺の能力『剣士』だからなー』


 ピエルくんは戦闘能力を授かっていた。


 ただ、うちの町ではあまり使い道はないけど、大人になったら大きな騎士団に入りたいと言っていた。


 隠れて剣の稽古をしているのも知っていた。


「お金余ったら、ピエルくんの新しい剣でも買おうね!」


「はは、俺のは最後でいいよ、まずは町の皆の分からだな」


「まずは無事のギャザー町に付かないとね」



 それから僕達は、ギャザー町に付くまでゴブリンも更に六匹程倒した。


 そして、意外とゴブリンの亡骸も『ゴミ』として『ゴミ収集』出来た。


 亡骸って……ゴミだったのか??

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