第11話 宝石ですか?

 僕が『ゴミ召喚』を獲得したおかげで、僕の箱の中に入っている『宝』を取り出す事が出来るようになった。


 そして、なんと!


 この『ゴミ召喚』!


 とても素晴らしい事があった!


 それは、声を出さなくても使えたのだ!



 いや~、『クリーン』は割と大きな声で詠唱しないと使えないからね~。


 しかも声を大きさではなく、発しなくても良いのがミソだ。




 そんな中、僕は一つ、とんでもない妙案を考えた!


 片手で『ゴミ収集』、片手で『ゴミ召喚』を繰り返せば、簡単にレベルを上げられるのでは!?


 ふはははは!


 こんな天才的な発想をしたので、早速試してみた。




 ――――三分後。



 あ~なるほど~そういう事ね~。


 一度収集したゴミを外に出したまではいいんだけど……。


 一度収集したゴミは必ず、一度収集したという事実・・が残るようだ。


 今までは、何となく、一度収集したよ~って事実が残った感覚があったけど、これがどうしてなのかは知らなかった。


 その理由が今回発覚した。



 召喚したゴミをもう一度収集する。


 すると、一度収集した事があるので無効ですと言われる感覚があった。


 つまり――――。



 一度収集したゴミを再度収集しても経験値には、ならない! という事が分かった。



 くっ……天才的な発想だと思ったんだけどね。




 ◇




「アレクや」


「マイケル爺さん! どうしたの?」


「どうやら、新しいスキルを覚えたそうじゃな?」


「うん! 僕の『ゴミ箱』の中身を取り出せる『ゴミ召喚』というスキルだよ」


「ほおほお、ではその中に、指輪やネックレスのようなモノがあったりするかい?」


「えーっと、ちょっと待ってね」


 僕は自分の『ゴミ箱』の中身に集中した。


 異空間のような場所に、多くのゴミが置いてある感覚だ。


 しかし、その感覚の中に、一際大きい『棚』のようなモノがあった。


 実はこの『棚』、貴重品と思われるモノが置いてあった。


 何故分かるかというと、先日、マイケル爺さんと助けるために取り出した素材は、この『棚』に格納されていたからだ。


 おかげで簡単に見つける事が出来ていた。




 僕はその『棚』から複数の指輪とネックレスのような宝石類を出した。




「えええええ!? アレク! 宝石が一杯だよ!?」


 隣で興味ありげに見ていたアイリスちゃんが驚いた。


 ふふふっ、どうだ! 僕の宝の山は! 凄いだろう!


「元々はこの町のモノだからね?」


 ぐはっ。


 僕が収集したんだから、いいじゃんよ!


「これを売ったら、少しくらいは町にも還元しなよ?」


 え? 還元?


 アイリスちゃん。


 君は何を言っているんだ。


 還元なんてするわけないだろう?


 全額、みんなで使うに決まってるじゃん?



 ちょ、ちょっと! いきなり頭撫でるんじゃ――な――い――。



 普段からそんな可愛らしく笑えよな――。




 ◇




 僕は幾つかの『宝石』を持ってアースさんの所に来ていた。


「なるほど……ゴミのに宝石が紛れていて、アレクのスキルで収集したモノは勝手に分別出来るから、貴重品が既に複数あると……」


「はい、貴重品は僕の箱の中で、特殊な分け方になっているので、見つけるのも簡単です」


「そうか、しかしアレクよ」


 アースさんが真剣な表情で僕を見つめた。


「ここに捨てられた『ゴミ』は拾った者が持ち主というこの町のルールだ。その『貴重品』は君が拾ったのだから、君のモノなのだぞ?」


「そのルールは知っています、でも僕一人じゃここまで多くの収集は出来なかったんですから、これは町のみんなで使うべきだと思ってます」


 アースさんは呆れた表情で、マイケル爺さんを見つめると、マイケル爺さんも優しく頷いてくれた。




「分かった。ではその宝石を売って、住民達のためになるモノを買おう」

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