第4話 救世主ですか?
あれから僕は食材を集めながら、そこらへんにあるあらゆるゴミを収集していた。
そもそも僕の能力が『ゴミ』を収集しないとレベルが上がらないから……。
マイケル爺さんからは、取り敢えず、沢山収集してレベルを2に上げてみようと言われた。
アイリス達は町でも不要なゴミが集まっている『デッドゴミ』と呼ばれているゴミを探して、案内してくれた。
『デッドゴミ』は火魔法でしか処分出来ない、使い道のないゴミを指す。
そんな『デッドゴミ』を中心的に収集して回った。
折角使えるモノや、食材を僕が収集してしまうと、二度と外に出せないからだった。
『デッドゴミ』なら一切いらないので、僕のレベル上げ用に収集していた。
アイリス達の協力も相まって日々、『ゴミ』を収集した。
◇
ゴミ収集して一週間程が経った。
本日はマイケル爺さんと一緒に、ヴァレン町の町長の所にきた。
ヴァレン町の町長、アースさん。
若い頃は高レベルの冒険者だったらしいけど、古傷で借金地獄からこのヴァレン町に流れ着いたらしい。
マイケル爺さんから秘密だと言われた。
ヴァレン町の町長は一番強い人がなる習わしがあるので、現在一番強いアースさんが町長になっていた。
ムキムキの身体に、歴戦の戦士を彷彿とさせる傷だらけの身体。
その鋭い眼差しは、既に五十代の引退冒険者とは思えない人だった。
「アレク……、どうだ。この町は」
「はい、とても楽しく過ごして貰ってます」
「くくく、お前も変なやつだな、こんなどん底の町が楽しいだなんてな」
でも事実、僕はあの広い屋敷が監獄に感じていた。
このヴァレン町は自由でとても楽しいのだ。
臭いけどね。
「それで町長? 今日は僕になんの用ですか?」
そう、実は今日ここに来たのは、呼ばれたからだ。
「おう、マイケル爺にお前さんの能力を相談されてな。もちろん他言するつもりはないから安心してくれ」
僕の能力? ゴミ収集のかな?
「アレクや、お前さんは――この町の救世主になれるやも知れぬのじゃ」
「えええええ!? 僕が? 救世主??」
世界で救世主と言えば、あの有名な勇者様とか、聖女様とかでしょう??
「アレク、今から俺が話す事は、絶対に他人に話してならんぞ」
アースさんのギラギラした目が怖かった。
僕は何か良くない事を知るのだろうか。
「この町に『ゴミ』が流れ着くのは、お前も分かっているだろう。何処を見てもゴミの山しかないしな」
はい、初日からずっと見てますからね。
「この『ゴミ』をこの町に受け入れる代わりに、この町で住みやすくなっているのだ」
「住みやすくなっている??」
「ああ、お前は毎日、食材探しをしているな?」
はい、毎朝食材探しは、最早日課ですね。
「こんなゴミだらけの町に食材があるなんて――不思議と思った事はないか?」
「確かにー最初見た時は驚きました」
「うむ、ああいうのも込みで、ここは住みやすくなっている。ただ『ゴミ』と隣り合わせで生きなければいけないがな」
へぇー! やっぱり、この町って住みやすくなっていたんだね。
「我々はここに着いたゴミを何とか処分する事が仕事だ。お前も知っているとは思うが、この町の中央には『ゴミ処理場』があるだろう?」
――そう。
この町の中央には古代機械と言うモノがあって、それでゴミを処分していた。
「今までは、あれで処分出来る量で、この町のゴミが溢れないくらいだった――、しかし、今は違う。気づかないかも知れないが、少しずつゴミが溢れ出ているのだ」
う~ん、元々多すぎて全然気づかなかったよ。
「そこで、現れたのがお前だ。お前の力――『ゴミ収集』はこの町を――この町に住んでいる住民達を救えるかも知れない」
アースさんが熱く語った。
僕の答えなんて、決まっている。
この町は――僕をすぐに受け入れてくれた町だ。
マイケルお爺さんだけではない。
ここに住んでいる多くの住民達が僕をすぐに受け入れてくれた。
僕が役に立つなら――――。
「可能な限り、手伝わせて頂きます!」
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