第3話 ゴミ収集ですか?

「マイケル爺さん!」


「ん? なんじゃ、アレク」


 夕飯と終えた僕は、マイケル爺さんに聞く事にした。


「今まで使わなかったけど、僕、スキルを使ってみようとしたんだけど、使えなくて……」


「ふむ――――」


 マイケル爺さんは何かを考え込んだ。


 暫く考え込んだマイケル爺さんは、


「アレクよ、そのスキルの効果範囲・・・・は確認したのかい?」


「効果範囲??」


「そうじゃ、名前通り『ゴミ収集』だとするならば、収集出来る距離や範囲があるはずじゃ」


 そうか! 確かに漠然と収集と唱えてるだけで、具体的にどう収集・・するか考えてなかった!


「まあ、今日はもう遅いからの、明日また試して見ると良いじゃろ」


「うん! ありがとう! マイケル爺さん!」


 そして僕は良い夢を見ながら寝た。


 ずっとアイリスに笑われる、とても良い夢だった。




 ◇




「よし! 今回はちゃんと使うぞ!」


「は? またあのスキル試すのか?」


「うん! 昨日は意識してなかったけど、今回はちゃんと収集を意識するから」


 そして僕はゴミの山に向かって両手をかざした。


「スキル『ゴミ収集』!」


 ……


 …………


 ………………


「ぷぷぷっ」


 何で発動しないんだよ!!



「なあ、アレク、そんな遠くから使わないで近づいてから使ってみたらどうだ?」


「近くから?」


「うん、まだレベル1だろう? 効果も低いだろうし、そんな遠くからじゃ収集も出来ないだろう?」


「確かにそうだね、うん。近くでやってみるよ」


 そして、僕はゴミの山に両手をかざ――――――――そうとした。


 ――――その瞬間。




 目の前のゴミが一瞬で消えた。




「え?」


「「「は!?」」」


 僕とアイリス達が驚いた。


 そしてすぐに、僕の頭に、異空間に『ゴミ』を収集した事が知らされた。


 知らされたというか――、何となく感覚的にそれを知った。


「あ、収集出来た」


「「「すげぇ!!!」」」


 どうやら、このスキル、一度発動させるとそのまま持続するらしい。


 昨日は収集を意識してなかったから、全然発動してくれなかったけど、今回はちゃんとで収集するイメージをしていた。


 そして僕が手をかざすと、目の前の『ゴミ』が消えていった。



 それから色々調べてみた結果――


 僕の手の平からかざした方の一メートルまでのゴミが収集出来た。


 但し、大きすぎる物は収集出来なかった。


 それともう一つ知ったのは、僕の能力『ゴミ箱』のレベルを上げられる条件が――ゴミを収集する事だった。



 それから楽しくなった僕は「僕に任せとけ!」と言い、ありとあらゆる『ゴミ』を収集した。


 もちろんその中には、食材もあった。




 ◇




「アレク、お疲れ~」


「うん! 楽しかった~」


「まあ、初めてスキル使うんだし、多少はね?」


「くふふ、これで僕もスキルが使えるようになったぞ~!」


 僕がご機嫌になっていると、ふとシーマくんから、


「アレク、今日の分の食材出してくれよ~」


 と言われた。


 ……


 …………


 ………………


「どうしたの???」


 あ――――なるほど……。




「ごめん、ゴミ……出せないや」


「「「はああ!?!?」」」



 僕達は二度目の食材探索を急いで始めた。


 そしてみんなから物凄く怒られた。


 だって……、まさか取り出せないと知らなかったんだ……。




 ◇




「マイケル爺さん! スキルちゃんと使えたよ!」


「おお! それはめてたいな、アレク」


 マイケル爺さんが嬉しそうに笑ってくれた。


「でも、取り出せないから、食材探しには使えないけどね~」


 むっ、アイリスめ……。


「なるほど、あくまでゴミを収集・・しか出来ないのかの」


「うん……、そうみたい」


「そうかい……、そういえば、収集したゴミはどうなっとるんじゃ?」


「う~ん、異空間? にそのまま収納されている感じかな?」


「ほぉ……、取り出せないという事は、何処までも入れられるのかい?」


 マイケル爺さんの目が真剣な目になっていた。


「う~ん、多分? 入れられるモノなら何処までも入れられると思うよ? 何となく分かるというか」


「ふむ、特殊なスキルは使用者が何となく分かると言われておるからのう、そうか……何処までも入れられるのか……」


 マイケルお爺さんが何か深く思いに更けていた。

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