第2話 スキルですか?

 僕がヴァレン町に来て、半年が経った。


 最初は臭いもきつかったし、食事もきつかったけど、自由な生活がとても快適で半年あっという間だった。


 現在、僕が住んでいる家には、マイケル爺さんと、その孫娘のアイリスちゃん、そして、僕の三人だ。


 アイリスちゃんはとても気さくで面白い女の子だった。


 今まで女の子とあまり話した事なかった僕でも、気さくに接してくれていた。



「でも、初日一時間笑いこけていたのは、許さない!」


「え~!? またその話!? アレクくん、しつこい男はモテないよ?」


「ふん! モテなくていいの!」



 最近よくあるやり取りだ。



 朝食を取った僕達は、食材・・探しに町を探索した。


 ヴァレン町では当たり前の光景だ。


 沢山のゴミの中から、食べれるモノを探す。


 でも、意外な事に、食べれるモノが割と多いのだ。


 僕の想像だと、もっと暮らしづらくて、食べ物にも苦労するかと思っていたのに、意外と快適だ。


 臭いだけはきついけどね~。




「よっ! アレクにアイリス」


 横から挨拶と共に僕達探索隊員の一人、ピエルくんが現れた。


「おはよう~プエル」


「誰がプエルじゃ!!」


「あはは~」


 ピエルくんにドロップキックされた。


 最近ではピエルくんを揶揄からかうのが日課になっている。


「おはよう~アレクくんはまたエルくんをいじってるの~」


「お前もプエル呼ばわりすんじゃねぇ!!」


 ピエルくんが現れたもう一人の隊員、シーマくんにもドロップキックをお見舞いした。



 それから僕達はいつものように、食材を集めに回った。


 ここ半年、毎日こんな生活だった。


 今まで毎日勉強ばかりだったのに――。


 うん、僕はこっちの方が百倍楽しくていい!


 臭いけど。




 ◇




 僕達は本日の探索を終わらせ、僕達の秘密基地に集まった。


 ここでは普段食材を集めがてら、遊び道具を拾って来ては集めていた。


「なあ、アレク」


 おもむろにピエルくんが口を開いた。


「うん? 何~?」


「お前のさ、ギフトってさ――」


「ぷぷっ――」


 僕のギフト――と聞くといつもアイリスちゃんが笑いこけるのだ。


「むっ! また笑ってるし!」


「ぷぷぷっ、あははは~、だって! ギフトがゴミ箱・・・って~」


 そりゃ聞いた事もないけども! 毎日笑われている身にもなってくれ!


「アレクのその能力って、どんなスキルが使えるんだ?」


「ん~? そういえば、僕、この能力――――、一度も使った事なかったね」


 言われて見て、気づいた。


 ゴミ能力だと思っていたから、今まで一度も使った事なかったね。


「まじかよ! 面白そうな能力だし、折角なら使ってみろよ!」


「うんうん! 僕も見て見たい!」


「ぷぷっ、私も――、ぷぷっ」


「約一人、絶対面白半分でしょうに!」


 アイリスめ……、いつかぎゃふんと言わせるからな!



「まず、『ステータス』から『スキル』を確認だな……」



〈ステータス〉――――――――


 能力 - ゴミ箱lv1


 体力 - E

 魔力 - C

 力 - E

 素早さ - E

 精神力 - A

 運 - SS


 [スキル]

 ゴミ収集


―――――――――――――――


 うん、スキルは一つしかない感じだ。


「スキル『ゴミ収集』ってのが使えるみたい」


「ぷぷっ、ゴミらしいスキルだね~」


「んも! 絶対ぎゃふんと言わせてやるからな! 見てろよ!」


 クスクスと笑ってるアイリスの前で僕は初めてスキルを使った。




 「スキル『ゴミ収集』!」




 確か――スキルを使うには、スキルと名称を唱えれば使えるはず。


 ……


 …………


 ………………


「ぷぷぷっ、あははは~~」


「何も起こらないじゃんかよ!!」


「アレクくん、もしかして――ネタでやってる?」


「ぐあああ! 何でだ! スキルって、スキルと名称を唱えればいいんだろう!?」


 むむむ……可笑しいな。


 何で使えないのだろう。


 僕はアイリス達に笑われながら、家に帰って行った。

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