第十四話

 最上階へと登った階段の先には、天文台のような空間が広がっていた。望遠鏡は無いため、この場所の用途は不明だが。

 天井を覆う半球状のドーム。硝子張りのそれは割れて、錆びた歪な骨組みが剥き出しになっている。空は陽光を遮る厚い雲で覆われていた。隣接する大木が室内に食い込んで、枝木が地面を這うように伸びている。

 部屋の中央には不似合いなアンティークの長机が置かれており、最奥の上座にあるスツールに座り、何かを書いている緑髪の女が居た。

 脱獄囚、斑鳩かがりだ。

「はじめまして、話を聞いてもらいに来ました!」

 わざとらしく大きな声で言うと、斑鳩はふとこちらを見て、情け深そうな笑みを浮かべる。どこか気味の悪いその表情に、ぞわりと背筋を虫が這う感覚がした。

 女は音もたてずに頷くと、コツコツと靴音を鳴らして歩み寄ってくる。

「はじめまして。遺書はお持ちですか?」

「うん、ここに」

 遺書を手渡しながら、彼女をまじまじと見る。修道服のような出で立ちに、大胆なスリットスカート。衣服の背が大きく開いて、白い素肌が露出している。

 遠目で思ったが、側に寄ると見上げるほど高身長だとわかる。ヒールブーツで更に増した身長は、加賀美を優に超えるだろう。ヒール込みで百九十はあるのでは。

「貴方がこの塔を作った人?」

「いえ、違います。別の方が作った秘密基地、合言葉で辿り着ける不思議な場所です。ここを、で賜りまして。合言葉は私の詩に変えて頂きましたが」

 協力者という訳か。確かに建築法に違反していない限り、才能による建築は自己責任で認可される。この場所は何の非合法性もなさそうだ。

 合言葉と特殊な条件、もしくは徒歩で辿り着ける秘密基地というのは心躍るものがある。それの扱い方が最悪というのは別として。

「その人はどこに?」

「死にました。人生に疲れたと言って。だからここは彼の夢の残骸です」

 口角を不気味な三日月型にして、斑鳩はあっけらかんと言う──協力者、というよりは体よく利用して殺しただけじゃないか。

 絶句して、額をつうと汗が伝う。

「後の話は遺書を読みながらにしましょうか」

 斑鳩は淡々というと靭やかな足取りで席へと戻る──命を狙われる可能性は考えていないのか、無防備に五樹に背を晒して。

 けれど五樹は平静を装って笑みを顔に貼り、斑鳩の向かいの下座へ腰掛けた。

 斑鳩はまるで読書でもするように、舐めるように遺書を見る。

「ねぇ。ここに住んでる子に会ったけど、ご飯とか寝る場所はどうしてるの?」

「食事は好きに買いに行って貰っています。麓は村ですから、目撃情報も何もありません──寝床は知りません」

 問えば斑鳩は平坦に答えた。五樹を子供だからと舐めているのか、遺書に夢中になっているのか、聞けば何でも答えてくれそうに思える。

「貴方は、どうして人を自殺をさせてるの?」

「人間の感情は美しいのに、それを内包する肉体はあまりにも醜い。皆様の感情が、蛹を破って羽化するお手伝いがしたいのです」

「羽化? 虫?」

「魂、感情。それら非物質は形而下のものだからこそ美しい。私は負の感情に新たな形を与え、キルケゴールを作るのです」

 キルケゴール、それが虚構生物の呼び名だろうか。

 言葉の意味が理解できない──否、ようは人を殺して、その感情から産み出された虚構生物こそ美しいと言いたいのだろう。

 斑鳩は詩文の表現者。その感性こそ詩的なものだと思うし、何を美と捉えるかは個人の自由だから何でも構わない。

 けれど悪びれていない、むしろ自分の行動が正義だと思っている姿には心底腹が立つ。

「皆が死ぬのを見て、心は傷まなかったの」

「えぇ、むしろ心躍りました」

 怒りを滲ませた声を出して、五樹ははっと我に返る。心を落ち着かせなければ。だが怒りは煮立った鍋のあぶくのように、沸々と留まることを知らない。

 ならば香椎はどうなる。彼女にも人生があって思い悩んでいるというのに、斑鳩は彼女を才能の素材としか見て居ない。

 斑鳩の才能という車は、自身と他者の負の感情を原動力に走る。

 だからこそ、許せない。人の希死念慮を食い物にしている姿が。

 五樹は強く、爪を立てて血が滲むほど拳を握った。だが顔は平常を保ったまま、笑顔を絶やさない。

 今すべきなのは時間を稼ぐこと。

──五樹が哀川たちに提案した作戦はこうだ。

 斑鳩かがりの虚構生物は背中から生成される。彼女が背中の開いた服を着用し、背もたれの無い椅子に座るのもそれが理由だろう。

 彼女は背中を覆われると、虚構生物を生成できなくなる。羽化という表現は正しく相応しい。蛹の皮が硬ければ出られないのだ。

 つまり、背面を覆えば良い。

 現在この室内には、哀川と加賀美が幻で潜んでいる。

 哀川が斑鳩に忍び寄り、組み伏せ、背面を地面に抑え込む。その後に衣服を使用し拘束。それが不可能な場合、加賀美の刃物で刺してでも地面に縫い付ける。

 五樹は哀川の足音をかき消すため会話をする。

 しかし彼女の上背は、ヒールを抜いても百八十はある。哀川よりは上だ、体格差があり容易ではない。だがヒールを履いているためバランスを崩しやすい──彼女の格好は知らなかった、これは嬉しい誤算だ。

 組み伏せるのは加賀美が適任ではあるが、彼は金属製のアクセサリを着用しており、それらが擦れて音が鳴る。なので入り口で動かず指輪に手をかけたまま、幻で消えてもらっている。

 哀川が姿を表すまで、後は耐え忍べば良い。

「書いた遺書ってどうするの? 家族に届けたりしてくれるワケ?」

「いえ、残念ながら。ですが遺された思いは、しっかりと形にしますよ」

 斑鳩は遺書をまた三つ折りにすると、それを掲げて目を閉じた。

「貴方、もしかして私のことをご存知ですか?」

 問われ、思わずぴくりと眉を動かすと、斑鳩は僅かにほくそ笑む。

「大解放の時のことでも、お話しましょうか。管理局は、あの日の出来事の詳細を黙秘しているのでしょう? それが管理局の得ならば、私が喋れば管理局は損をする。例えば貴方に牢獄の構造を伝えたら、大解放を再び引き起こすやも……といっても、貴方のような子供が何をするとも思いませんが」

 そんなことはしないと、怒鳴りたくなったのを強く拳を握って堪える。だが本人が話すというのなら聞くまでだ。

「じゃあ教えてよ色々と。大解放が起きる前は、刑務所に居たんでしょ?どんな場所だったの?」

「パノプティコン構造の、簡素な牢屋でしたよ。四六時中監視下に置かれるのは、おおよそ人間の扱いとは思いませんが──まぁ、一時期よりマシでした」

「一時期?」

「えぇ。といっても、私が牢屋に入る前ですが。私、元管理局員なんですよ。ご存知でしたか?」

「知らなかった」

 面食らって目を見開く。事件記録手帳にも書いていない──否、思えば黒く塗りつぶされた部分があった。そこには管理局員という単語があったのか。しかしコウは何故それを塗り潰したのか。単なる書き損じにしては都合が良すぎる。

「もう十年は前ですね。当時は管理局で、法務技官のような仕事をしておりいました。あの頃の刑務官は暴力や暴言ばかり──ですが、六年程前からそれらは徐々に無くなりました。上の方針が変わったのかしら」

「あの日、牢獄で何があったの」

「確か、大きな地震が一度あったでしょう? 嗚呼それと、何やらバキバキと割れるような破壊音も。更には火事があったのか、火災警報器も鳴り響いていて」

「地震?」

 そんなものあっただろうか。五樹の記憶にはない。建物が将棋倒しに崩れる振動と轟音はあったけれど。

 だとすると時系列が逆だ。建物が崩れ火事が発生したのは、脱獄囚が攻撃してからのはず。その前に地震があった記憶はない。

 疑問に思うも、斑鳩は気にせず続けた。

「何事だと騒いでいたら、気づけば商店街に居ました。あれがフリークスの才能──瞬間移動か何かでしょうか」

「フリークスは、誰なの」

 問えば、斑鳩は一瞬口をつぐんでため息を吐く。

「逆に私がお聞きしたいぐらいです。フリークスはどなたですか? 一体何処に? どうすれば彼らに会えるのでしょうか──嗚呼そういえばあの日、収容所が真っ二つに割れて、外の景色が見えていました。あの亀裂が、フリークスの証なのかしら」

「空? 亀裂?」

 何を行っているのだろうか、上の空で呟く彼女に身構えると、斑鳩は五樹の遺書を持ったままに口を開く。

「魂の抜殻、或いは肉体の残滓。才能開示【カイカウカ】」

 斑鳩が口上を発する。しかし何も起こらない。

 一体何がと問おうとして、理解した。

──嗚呼。嘘がバレるというのは、これか。負の感情を形にする、言葉通りの意味か!

 負の感情が含まれていれば、遺書と等価交換で虚構生物が生成される。負の感情が無ければ発動しないのか。

──せめて殺意でも込めておけばこんなことには!

「貴方、これ、本気で書いて居ませんね?」

「哀川さんッ!」

 五樹の叫びと共に、斑鳩の背後に哀川の姿が浮き出る。同時に斑鳩は髪を振り乱しながら、先程何かを書いていた卓上の紙を引っ手繰るように取ると。

「キルケゴール、喰い殺しなさい」

 斑鳩の所持していた紙片が黒く変色する。やがてぼろぼろと塵になり、消えた。

 瞬間、斑鳩の背が腫れ上がったようにぶくぶくと質量を増す。それは全長二百はくだらぬほど膨れ上がり、白い虚構生物となる。人間と同じく四肢はありながら、鳥の十字の鉤爪を持ち、背に生えた羽根は羽化直後で濡れて萎びている。

 白色の表皮に文字──斑鳩の詩か──が印字された肉体。紙の裏地のようにざらついた肌と、耳元まで裂いたような三日月型の歪な口。牙はなく、口腔内は深淵のような黒い空洞。

「────」

 現れた虚構生物は、ノイズ音のような叫び声と共に即座に眼の前の哀川に拳を振りかざす。咄嗟に眼前で両手を交差させるも、ばぎりと殴りつけられた勢いのまま身体は後方へ弾き飛ばされ。

「ぐ、ぅっ」

 くぐもった声と共に哀川は背を強く大木へ打ち付けて、汚れた地面に膝をついた。

 下座からそれを見ていた五樹は、即座に身を乗り出して長机に乗り上げる。だんっ、と勢いよく地面を蹴ると机上を走って斑鳩の目の前へ飛び出し、拳を振りかざす。

 しかし斑鳩が机を蹴り上げる。机に乗っていた五樹の足場が揺れ膝からバランスを崩すと、斑鳩の背面で振り返った虚構生物が机に乗り上がり、バランスを失った五樹の顔面へ応酬のように拳を叩きつけた。

「がッ」

 親指の鉤爪が頬を裂き、ぶしゃりと血が噴き上がる。その勢いに負けて背面から倒れ、机から落ちて地面へ強く背を打ち付ける。

「引っ込んでなさい、才能開示ッ!」

 怒号と共に五樹の視界の端で閃光。卓上に加賀美が姿を表すと同時に、指輪を変形させて刀身の長い金色の包丁を作り出す。それを真っ直ぐに虚構生物の腹へと突き立てた。ざくり、と紙を破るような音と共に刃は深くその腹へ刺さる。

 思えば虚構生物は、斑鳩の詩を代償に無から作られた。その証拠にか、詩文が表皮に刻まれている。

 ならば──

「加賀美さん。こいつの身体、多分紙だ! 裂けばなんとかなるかもしれない!」

「そう簡単にできたら苦労しないわよ!」

 虚構生物は意に介さない様子で、その刀身を鉤爪で掴んで引き抜き柄を持つと、目の前の加賀美めがけ凶刃を振りかざす。

 ばぎりっ! 轟音をたてて長机が両断され、破片が四方へ飛び散る。五樹はそれから逃れるように砂まみれの地面を転がり、側面の壁に背を預けて白煙の中の机を見た。

「加賀美さん!」

 加賀美の姿が、薪割りのように真っ二つに割れていた。

──だが血飛沫はあがらない。裂けた加賀美の姿は陽炎のように揺らめいて、やがて蒸発するように消え失せる。

「なるほど、幻ですか」

 斑鳩がわずかに眉を寄せると、蜃気楼の中から哀川の瑠璃紺の髪が浮かび上がる。

「驚いた?」

 嘲るような哀川の声がする。現れた彼は一足飛びに机の残骸を超えると、刃を振り下ろしたままの虚構生物の腕を踏みつけにして、勢いをつけて右足でその顔を蹴りあげる。

 がっと鈍い音がして虚構生物が仰け反った。反動で包丁の柄から手を離し、蹴り上げた哀川が地面に降り立った弾みで、包丁が壁際の五樹の足元へ滑ってくる。

 五樹は咄嗟にそれを手に取り、斑鳩の元へ走り出した。どれだけ虚構生物が強靭だろうと、それを操る斑鳩は人間だ──人間ならば、刺せば死ぬ!

 埃が舞う視界不良な中を瓦礫を踏んで駆け寄り、油断しきった斑鳩の脇に寄り、首目掛けて刃を突く。

 しかし刃が斑鳩の肩を抉ると同時に、瞬時に割り込んだ虚構生物が五樹の腹を蹴飛ばした。手から離れた刃が金属音と共に地面に落ちる。

「ぐ、ぅぇっ」

 嗚咽と共に五樹の身体はだんっと鞠のように地面を跳ねて、壁に背を打って制止する。唇を噛んで血の味が広がり、食らった砂の感触がした。熱が走るように痛む腹を抑えながら顔をあげてみれば、肩の布地が切れて血の滲んだ斑鳩が、呪うような目で五樹睨みつけている。

「殺しなさい、キルケゴールッ!」

 虚構生物が残った左腕を振り回し、異様な前傾姿勢で壁際の五樹へ寄ってくる。立ち上がって逃げようにも、度重なった背中と腰の激痛で動けない。

──その五樹と虚構生物の合間に、人影が割り込む。

 結んだ三つ編みの解けて長髪を振り乱した加賀美だ。彼は五樹を庇うように割り入ると、長包丁の切っ先を虚構生物へ向けて迎える。

「加賀美さん!」

 声をあげた、その瞬間。

 がばりと、虚構生物が大きく口を開ける。

 顔面が二つに裂けたと思うほど開いて洞穴のような喉があらわになる。牙はなく、だが深淵と見紛う奥の見えない口腔。

 それが一口に、加賀美に頭部から食らいついて、その腹部までを口に含んだ。

 加賀美の取り落とした刃が、キィンと床に落ちて鳴る。

「景ッ!!」

 哀川の叫びが聞こえた──このままでは加賀美が死ぬ。脳味噌が警鐘を鳴らして視界が真っ白になる。

 だが殺されてたまるかと。、ぎりりと五樹は強く殺意に歯噛みして、

「口開けろお前ぇぇぇぇぇッ! 笑えよッ──才能開示ッ!」

 咄嗟に左腕をかざして慟哭をあげる。すると虚構生物の裂け目のような口が、再びばかりと開かれて、三日月の口が奇形に歪んでいく。

「は、ふははは、ひゃは、ははは」

 洞窟の喉、きっと声帯も無いだろう。それなのにまるで高笑いのような空洞音を鳴らして、虚構生物は腹を抱えながら仰け反った。

 大笑いした口から加賀美の上半身が吐き出され、「ごほっ」と咳き込む声と共に顔を抑えて数歩ふらつく。首と胴はまだ繋がっていた。

「何をしているキルケゴール!」

 追随するように斑鳩が叫ぶ。笑っていた虚構生物は我に帰ったように再び大口をあげて、加賀美の頭蓋目掛けて食らいつく。

──その虚構生物の動きが、止まる。

「───」

 遠くから、一瞬の静寂を払うような、伊依の美しい歌声が聞こえた。

 虚構生物は口を開いたまま、まるで時が止まったように動かない。

 今だ!

「うおぉぉぉぉらァァァァッ!」

 その一瞬を逃さなかった。

 五樹は加賀美の落とした包丁を取り上げると、悲鳴を上げる足を無理やり立たせて、虚構生物の大きな口へ刃をねじ込み、その口を更に深く横に裂く。虚構生物は閉じられなくなった下顎をだらりと垂らした。

「──ごめん弥、使うわね」

 裂けて開いたままの口に、ふらりとよろめいた加賀美が右手を突っ込んだ──そのおり、何かを呟いた気がする。

「紙なら、燃えるわよねェッ?!」

 深緑の瞳をギラつかせて加賀美が叫ぶ同時に、虚構生物の口腔内で赤く炎が揺らめいて、ぶわりと肌が焼けそうな熱気があたりを充満する。

「喝采は赤、称賛は青。惜しむらくは亡き灰の空。共に終わらぬ夜を夢見て。才能開示【再演】ッ!」

 瞬間、キルケゴールの肉体が質量を増す──否、ケーキ生地のように膨れ上がって、ばんっと鼓膜を劈く音と共に破裂した。

 口腔を中心に、四方へと膨張した肉体の中に咲いた赤い炎が、爆発。虚構生物が内部から千々に爆ぜ、その肉片が火種のようにばちばちと燃え上がる。

 爆風は加賀美を避けるように轟々と猛る。五樹は彼の背に守られ、なおも巻き起こる黒煙と身体へ打ち付ける風塵に顔を覆いながら、僅かに開いた目で加賀美を見た。

──加賀美の二つ目の才能か? こんなの知らない。

 やがて徐々にその炎の勢いが弱まると、ぷすぷすと頼りない音を鳴らして消える。虚構生物が居た場所には、原型も無くなった小さな灰の山と、焦げて黒くなった瓦礫の山、僅かに火が燃え移って黒炭となった木の幹だけが残された。

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