共犯者-グレゴリー・タイムズ-/【ワンカット】
「――ね、そうだよね、君もあの場に一緒にいたじゃない」
と、下段にいる彼女が僕を見上げてそう同意を求めてきた。
大勢の人間が僕たちを見ている。
彼らが注目しているのは当たり前で、舞台に僕たちは立っているからだ。
演劇であるのなら、この先の僕のセリフは決まっているので楽だが、今回のこれは台本なんてあってないようなものだ。
誰もがアドリブで空気や流れを見て喋っている。
で、この女もそうなのかと思いきや、完全に空気をぶち壊して挙手し、いきなり話し始めて最終的に僕にこうして話を振ってきたのだ。
見切り発車して自滅してくれればいいのに、ダメと見るや、僕を巻き込もうとしてくる。しかしなるほど、ここに僕を呼んだのは、『失敗をしても傷を分かち合える』仲間が欲しかったからなのか。納得だ。でなければ彼女が僕を誘うはずなんてないのだから。
ひな壇の一番上に座る僕は、彼女から伸ばされた言葉という手を、同じく言葉という手で握り締めた。握手をした時に力を入れてどちらが先に音を上げるか、みたいな遊びのような感覚で。
君がそのつもりなら、いいよ付き合おう――この空気がどうなろうと知ったことではない。
この【ライブ】が失敗した責任を追及されようが、僕は君に全ての責任を押し付けてやる。
彼女と目が合い、にやりと僕たちは互いに笑い合った。
「そうだね、僕も見たんだ、その現場を――」
さてさて。
暴露話は、一旦口が回れば、止まらない。
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