第2話 夏 告白

 一度軽く深呼吸して車の助手席に乗り込み 「すみません、よろしくお願いします。」とシートベルトを締めつつ彼に声をかける。

 

 走り出した車の車内に洋楽のPVが流れている……しかもバラードっぽい?PV映像には恋人だろう男女がいい雰囲気?でいちゃついてる。

 ナイスなボディーのお姉さまの流し目…って、気まずいのは私だけかな?頬杖しながら運転している彼を横目で伺いつつ、PVでの余計な気まづさを窓の外を流れる景色に意識を向けることで逸らそうとしたら、「コンビニ寄るけど、何かいる?」と声がかけられた。

 運転席の方に顔を向けると、チラリと視線を流した彼と目がバッチリあった、合ってしまった瞬間自分の体温が急上昇したのが分かった。

 ナイスなボディーのお姉さまのイチャコラ見た時なんか比じゃないくらい、きっと今自分の顔は真っ赤だと思う。

 息苦しささえ感じる、耳が熱い。

 

どうか夜の暗さでこの顔が彼にバレてませんようにと切に願いながら、「…え、と大丈夫です。」となんとか声を絞り出して答えたのだけれど、「  もしかして車酔い?コンビニで少し停まっておこうか。」と労るような声色が返ってきた。

 バッと俯きかかった顔を上げて否定の言葉を返そうとしたら“ガゴッ“と車が何かに乗り上げてその軽い衝撃に言葉を飲み込んでいたら、目の前が少し明るくなって見上げた先にはコンビニ。

 

 車を止めた彼が「ちょっと待ってて。」と降車して店内へと入って行く姿を確認して、両手で顔を覆う。

 自己嫌悪に陥りながらも思い出すのは先程の声色と視線、内なる心でギャーー!と叫び、再び深呼吸でなんとか落ち着けと自身に言い聞かせる。

 そんなことをしている間に彼が車に戻ってきてしまった。

 車に乗り込んだ彼はレジ袋ごと私に差し出すと、車を動かしたのだけれど…コンビニ駐車場の端に頭から入り再び車を止めて、「目の前だと店の明かりが気になると思って。ここなら光がないから落ち着けるんじゃないかな?」と私の膝上にあった袋を取り、冷たいお茶を渡してくれた。


 「あ、ありがとうございます。」と渡されたお茶にお礼と代金を渡そうとしたらやんわり断られた [それぐらい奢ったうちにもならないよ]と。

 もらったお茶で少し渇いていた喉を潤し、ついでに体温も下がれと思っていたら、横から何か感じる。 視線?エアコンの風?顔を運転席に向けると…窓枠に頬杖をついた彼がこっを見ている視線と合ってしまい、突差に「今日はなんか熱帯夜なのかな?暑いですね。」と手うちわで顔を仰ぎながら目を逸らす。

 エアコンが効いてる車内がそんな暑わけないのにあまりにもイレギュラーな事が続き、思考回路がまともじゃなかった。

 「フッ…んぐッ フフフッ、あ、慌てすぎでしょ?ハハハッ。」と彼は堪えきれなくなったのか、口に当てていた手を外して笑う。

 初めて見た彼のここまで笑う姿に先程の羞恥など忘れ、彼をただ見つめていた。

 

 そして   「…多分、初恋なんです。」と無意識に口にしていた。








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