第3話
土曜日になり、私服を着て髪を整えていると凄い勢いで階段から降りてくる音が聞こえた。
「お兄ちゃん!!そんなおめかししてでーと?」
「兄さん、彼女ができたの?」
瓜二つの顔をした二人の少女が駆け寄る。
二人は妹で双子である。
いつも料理を作ってくれるのはもう一人の義妹で一応、四人兄妹だ。
赤いリボンをしている方が桜紗で青いリボンをしている方が紗枝である。
双子ってこともあり、リボンを外されると分からんが俺に対する呼び方が違うからまだ分かる。
「それより朝ごはん食べたのか?二人とも」
「うん、食べたよ。えへへ」
桜紗が撫でてと言わんばかりに頭を突き出し、紗枝も同じように頭を突き出した。
「はいはい、偉い偉い。お兄ちゃん友達と遊びに行くから、ちゃんとお留守番しておくように」
「兄さんに友達!?」
「いや驚くなよ。俺だってもう高校生なんだ。友達の一人や二人、、、って言ってて悲しくなってくるわ」
「お兄ちゃんのツッコミ今日も冴えてるね!」
桜紗がグッジョブサインをしてくる。
「一応、美莉亜さんが来ると思うけどあまり迷惑かけるなよ」
美莉亜さんというのは母親の知り合いで自分がバイトに行ってる時や外に出てる時に妹たちの面倒を見てくれている。
「「はーい」」
集合場所である大宮駅に着くと既に東崎が待っていた。
少し眠たそうな顔をしていた。
「もう着いてたのか、東崎」
「戸神くんだったのね、、一瞬誰かわかんなかったわ」
「八都寧は?」
「いいえ、まだ来てないわ」
「ごめん、遅れたぁ」
八都寧が走ってきた。
「集合時間の数分前だし遅れてはないだろ」
「二人より早く来て驚かせようと思ってたのに〜」
「何しようとしてんだよ、お前は」
「さて、とりあえずまずは東崎さんの服を買おう」
「えっ?なんで?」
東崎を見ると何言ってるんだろう的な顔をしていた。
「だって可愛い女の子に色んな服を着せるって最高じゃない?ねぇ、響也くん」
「八都寧、なんで今俺に振った?」
「なんとなく。とにかく私も新しい服買いたいし。東崎さんが嫌なら無理にとは言わないけど」
「大丈夫よ」
ショップへと入るが女性向けなのか、客のほとんどが女性かカップルだった。
「俺は外で待ってる」
「何言ってるの、響也くんも審査員だよ」
ショップから出ようとしたが手首を掴まれ引き戻された。
「俺はそういうのわかんねぇぞ?」
「素直に答えてくれればいいから」
一時間弱くらい付き合っていたらいつの間にか他の客や店員が集まり八都寧と東崎のファッションショー的な感じとなってしまっていた。
「まさかあんなに注目されるなんて思ってなかったわ」
東崎は着た服を全て購入し、俺も八都寧は断ったが買う予定だった自分の服と妹の服も一緒に購入していた。
「まぁ二人とも美人だから当然っちゃ当然か」
「え?」
「響也くんってそういうこと恥ずかし気もなく言うよね」
「そういうこと?」
「ううん、気にしなくていいよ。こっちの話だから」
服だけで荷物がいっぱいになってしまったが東崎の侍女と名乗る人物が現れ、荷物を持っていった。
東崎に聞くと荷物を自宅へ直接送ってくれるらしい。
「何から何までまじで悪いな、東崎」
「気にしなくていいわよ。あれ全部私のお小遣いの範囲だし」
「そうだ、昼飯の時間になったし、昼飯は俺が奢るよ。貰うばっかりはなんか悪いし」
東崎の要望で近くのファミレスで昼食を摂ることにした。
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