子供の頃の夏休み、親戚のお兄さんに憧れた日の思い出を綴った物語。
ノスタルジックな雰囲気が魅力の現代ドラマです。
大人になった主人公の主観から、過去を振り返る形で綴られた物語。その語りの調子というか、ときおり顔を覗かせる大人の視点が味わい深くて好きです。当時の子供らしい振る舞いに、少し反省や恥ずかしさを感じるようなところとか。
タグの「異能」の扱い方にひねりが効いているというか、ほんのり不思議な要素があるようなないような、その匙加減が楽しいです。
それは「どちらとも取れる」という意味でもあるのですけれど、それ以上に「どちらでもいい」と思えるところが魅力的。どうあれ彼らの関係性は変わらない、ということが嬉しい。
後半は打って変わっていま現在の話で、かつての内気な少年が長じた姿を見る、その感覚にもまた楽しみのある作品でした。