第23話

キスをしてもらったエレーナはそのまま身を乗り出し、レイラの方へと体を近づける。そしてレイラの頬を両手で持ったかと思うと、そのまま口づけを交わして来たのだ。


何が起きたのか訳が分からなかったから、思い切り目を見開いてしまっていたレイラのことなんてお構いなしにエレーナはじっと唇をくっつけている。そのまましばらく、瑞々しく柔らかいエレーナの唇の感覚がレイラの脳にまでしっかりと浸透した頃に、ようやくエレーナは顔を上げた。


「あ、あの、お、お嬢様、これはいったい……?」


「忠誠を誓ってくれたレイラへのご褒美よ」


何が起きたのか訳が分からず動転してしまっているレイラにエレーナが淡々と説明する。


レイラには、目の前にいるエレーナがいつも以上に美しく見えた。絵画からそのまま飛び出してきたかのようにどこか現実離れした美しさを放つエレーナがそこにはいた。


レイラの心臓の鼓動は未だ激しく、エレーナから目を離すことができなくなってしまっていた。


エレーナも口調こそ淡々としていたけれど、その顔が真っ赤に染まっている。一瞬夕焼け空が反射したのかと思ったけど、外はすでに夕焼けが沈み、とっくの昔に一番星が出て、真っ暗になっていた。

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