第18話

「ねえ、レイラ」


呼びかけに答えるためにエレーナの方を向くと、今にもエレーナの高い鼻が触れてしまいそうなくらい近い距離に顔があり、レイラは思わず顔を逸らそうとする。だけど、エレーナがそれを許してくれない。


「ダメ、レイラ。わたしの目を逸らさないで」


真剣な目でレイラのことを見てくる瞳を吐息の触れてしまいそうな距離で見つめ返すと、心臓の鼓動が異常なくらい速くなる。


「ねえレイラ。今答えてもらえないかしら。もうこれ以上待てないわ。はぐらかさないで、今答えて……」


先程ダイニングで聞かれたときとは比べ物にならないくらい、エレーナの言葉に力がこもっていた。だけどやはりレイラは答えに悩んでしまう。


「お嬢様……」


「レイラはわたしの指示ならばなんでも聞いてくれるのよね? これは命令よ! いますぐ答えて頂戴!」


強い口調で言うエレーナの目が潤んでいるのがよくわかる。答えなんて本心に従えば悩む必要なんて一つもないのに……。

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