さよならおてんばお嬢様
第12話
それからもレイラは度々問題を起こすエレーナの面倒を見ながら、平和な日々を送っていた。
レイラは、優しくて可愛らしいエレーナと一緒にいることが楽しくて仕方なかったし、きっと似たような感情をエレーナも持ってくれているとレイラは思っていた。使用人の身でおこがましいことかもしれないけど、レイラはエレーナとは主従関係を超えて姉妹とか親友とかそういう関係に近いものだとこの頃は思っていた。
エレーナは10歳になっても相変わらず無邪気でおてんばでトラブルメーカーなところは変わっていないけれど、引き起こすトラブルはレイラへの優しさからくる部分も多かったのであまり強く注意することもできない日々を送っていた。
その日、エレーナは屋敷から歩いて30分ほどの丘へと他のメイドとともにピクニックに行ってきた帰りだった。
エレーナはレイラと一緒に行きたいと何度も言ってくれていたけれど、レイラは護身術を学んでいないことから、外出時の付き添いを任してもらうことはできない。(だから以前2人だけで湖に沈む夕焼けを見られたことはほとんど奇跡に近かったのだ)
「ただいまー。ねえ、レイラ。今日すっごく楽しかったのよ!」
エレーナが楽しそうに今日あったことを説明していた。その様子は普段と変わらず無邪気で可愛らしかった。
「ねえ、レイラ。レイラはネコを見た事ある?」
「ネコですか? まだ見た事はないですね」
「ネコってすっごく可愛いのよ!」
基本的には屋敷の中で働くことの多いレイラは、まだネコという生き物を見たことがなかった。もちろん知識としては知っていたけれど、本物はまだ一度も見たことがない。
「それは是非わたしも見てみたかったです」
レイラは特に何も考えずに返事をした。ただエレーナの土産話を楽しんで聞くという以上の意図のない返事だったのに、エレーナはなぜかその返事を待っていたようだった。
「そう言うと思ったわ!」
エレーナはレイラの言葉を聞いて嬉しそうに笑い、お昼に食べるためのサンドイッチを入れていたバスケットの開け口に手を置いた。
レイラはエレーナの無邪気な笑い顔を見るのは大好きだ。
だけど時折、エレーナの笑みはトラブルを連れてくることがある。ましてや中の見えないバスケットを開けようとするなんて、これはまさにエレーナが大好きなサプライズをするのにうってつけの状況ではないか。
嫌な予感がしてレイラが止めようとする。
「お嬢様、開けるのを待って――」
だけど、今まさに止めようとした声よりも早くエレーナはバスケットを開けてしまった。バスケットの中からは小さな何かが顔を出す。
”ニャ~”
可愛らしいつぶらな瞳をした白いネコがバスケットの中から元気に出てくる。バスケットの中に入るようなサイズだからそんなに大きくはないけど、確かに以前図鑑で見た事のあるネコそのものだった。
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