第11話
「ごめんね、レイラ。わたしちょっと足痛めちゃって歩くのが遅くなっちゃいそう」
申し訳なさそうに謝るエレーナの前でレイラがしゃがんで背中を向けた。
「お嬢様、もし足にご不安があるのならわたしが負ぶって帰りますよ」
「でも……」
「大丈夫ですよ。お嬢様の一人くらい簡単に運んでいけますから」
「ほんとに大丈夫なの?……」
「ええ」
「じゃあ、ごめんねレイラ。お言葉に甘えるわ」
そう言ってエレーナがレイラに体を預ける。小さな体でレイラのことを包み込むみたいにしっかりと背中に抱き着いた。
いくら乗っているのが華奢なエレーナであるとはいえ、暗くて足元の悪い中、人を背負いながら歩くのは大変だった。
それでもレイラの背中を信頼してエレーナが体を預けてくれているのだから、しっかりと運ばなければと気合を入れて歩き出す。
「ねえ、レイラ。今日は来てくれてありがとう」
「わたしはお嬢様に呼ばれたらどこにだって駆けつけますよ」
「嬉しいわ……。ねえ、どうしてレイラはわたしのことを大事にしてくれるの?」
「それはもちろんお嬢様の側にいることがわたしの仕事ですから」
レイラはそれが正しいことだと思って答えた。しっかりとエレーナに忠誠を誓う真面目なメイドだということを伝えたら、エレーナが喜ぶと思って答えたのだ。
残念なことに、レイラはエレーナの質問に主従関係の確認以外のニュアンスがあることには気づいていなかった。
「お仕事?……」
「ええ、わたしはお嬢様のご指示ならどんなことだって聞きますよ!」
「そう……」
自信満々に答えた言葉を聞いたエレーナの声が、明らかにがっかりした、寂しそうなものだったからレイラは少し心配になる。
「お嬢様、あのわたし何か良くない事を言ってしまったでしょうか?……」
レイラの質問から少し置いてからエレーナが何事もなかったかのように答えた。
「そんなことないわ。レイラが立派なメイドで嬉しいわ」
そう言った後、なぜかエレーナはがっかりしたような大きなため息をついたので、レイラは不思議に思いながら屋敷への足取りをすすめたのだった。
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