第28話
私達はお互いのことがよくわかっていて、親友呼べる仲になっていた。
けど、学校やその行き帰り以外のプライベートで遊んだりしたことはなかった。
理由は、梓依華ちゃんが毎日バイトで忙しかったっていうのもあったけどそれは建前で、本音を言えば誘いずらい雰囲気かあったからだった。
そんな、思いどうりにならない掴みどころのないところが好きだったんだけれど、1度くらい遊びたかったな。
いや、私達にはそんな時間必要なかったか。
放課後になり、私達は学校の図書室に来ていた。
梓依華ちゃんとは本を読むのが好きという共通点があり、たまにこうして、一緒に図書室に来ていた。
本は借りるだけで、図書室で読んだりはしない。
それは、この時間を大切したかったからだった。
本人には気持ち悪がられるから言わないけどね。
私達は、気になる本を1冊見つけると、図書室の中に用意されている椅子に腰かけた。
勿論、本を読む目的ではなく、おしゃべりをする為だ。
この図書室の造りは変わっていて、本が置いてあり、本を借りるカウンターがある部屋とは別で読書をする目的だけの部屋が用意されていた。
なので、よっぽど大きな声を出さないと注意されることは無い。
それに加え、図書室を利用する生徒も殆どいなかったため、読書をしている人に迷惑をかけることもなかった。完全なプライベート空間って感じ。
私達はまだ借りていない本を机に置いた。
「私父親違いの弟がいるんだ」
「え〜そうなんや!」
確かに梓依華ちゃん面倒見がいいし、大人っぽいもんなぁ。
私は梓依華ちゃんのことが知れることが嬉しくて、笑顔になる。
「普段は父方の家で生活してるんだけど、たまーにこっちに遊びに来てくれるんだ」
そう、話しをする梓依華ちゃんはとても楽しそうだ。弟さんのこと大好きなんだなぁ。
「弟とは仲良くて、今だにお風呂一緒に入るよ」
「えっ??弟さんいくつ!?」
「中学2年生だから、14歳だね」
「っ仲良し、なんやね」
内心羨ましい奴と、複雑な気持ちになりながら、苦笑いしてしまった。
「でね、遊びに来ると近況報告とかもしてくれて、なんとこの前、好きな人出来たって教えてくれたの!」
「おぉ!いいねぇ青春やねぇ」
「そうだねぇ、、、弟見て恋をするってすごいことだなって思ったよ!」
「どうして??」
「弟は今まで自分の外見とか無頓着な方だったし、私が心配するくらい引っ込み思案な性格だったのに、久しぶりにあったらオシャレして性格も明るくなってたの!」
そう、話す梓依華ちゃんはとても幸せそうに笑っていた。
久しぶりに会った弟の成長が嬉しいようだった。
兄弟がいない私には分からない感情だ。
「だからね、恋って凄いなって思った!人を変えてしまう!」
「人を変えてしまうほどの影響力って凄いね。私たちにもそんな人現れるかな?」
「どうだろうねぇ」
この頃の私はその内いい人と出会って、シンデレラストーリーみたいに私の全てを変えてくれるなんて呑気に考えていたけど、きっと梓依華ちゃんは違ったんだよね。
自分でどうにかするしかなって思ってたんじゃないかな。
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