第23話


この日の体育の授業は体育館で行われていた。

バレーボールのサーブやアタックのテストをしていた。

体育は男女別れて行われている。

1クラスの人数も少ないので、何人かまとめてテストをしなくても時間内に終わる。

ので、テストは1人ずつすることになった。

先生はひとりひとりを評価し、記録をつけなければならないため、そのテストにはアシストが必要だった。

ボールをテストを受ける人に投げる役割の人だ。

その役割は陽キャラがやることになり、順番にテストが行われていく。

生徒達は順番が来るまでおしゃべりをしたり、真面目な生徒はテストに向け練習をしたり、それぞれ自分の好きなように時間を使っていた。

そして、とうとう私の番が来た。

一瞬で騒がしかった話し声は止み、辺りはしーんと静かになった。

そして、陽キャラの1人がボールを投げると、私はそのボールを追いかけ、反対のコートに返そうとする。けど、なかなか上手くいかない。

私が極度の緊張状態なのもあるけど、ボールを私に向けて投げる陽キャラは明らかに手を抜いていた。

私の元に向かってくるボールは安定しておらず、私のいる方とは真逆の場所にほとんどが向けられていた。

私は呆れていた。

こんなところに私情持ち込むなよ。

私の成績に響くだろ。

私の真逆に向けられたボールは追いかけなくてもいい。

そう判断して、私はじっと動かなかった。

すると外野から「なんで動かんの?動けよ」って誰かが言ったのが聞こえた。

その言葉で更にその場の空気が悪くなった気がする。

ボールをこちらに投げる陽キャラは嫌そうな顔をしてこちらを見ていた。

何で私がこんな敵意を向けられなきゃいけないんだろう。私が1度たって貴方達に害になるようなことしただろうか?

たった1人私を気に入らないと思っている人が仲間内にいるからって、どうしてまともに話したことの無い、私のことを何も知りもしない、知ろうと努力もしてくれない人にどうして?

クラスメイトの1人が「可愛そう」って言った声が聞こえた。このおかしな状況を異常だと思う人が、気がついても一言も言葉を発しない、傍観しているだけじゃない人が、少なくとも1人はいるんだと思った。

私はテストが終わった途端極度の緊張で過呼吸を起こした。

そこに駆けつけてくれたのは、さっき私を可哀想と言ったクラスメイトだった。

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