第18話


夏休みが明け、私は夏バテ気味で、1週間ほとんど何も口にしない日もあって、体重が7kg激減した。

久しぶりにクラスメイトや先生に顔を合わせると必ず身体の心配をされた。

私にとったら毎年のことなので大したことではないのだけれど。

それに、原因はどうであっても、それが一時的なことでも、体重が減ったことに嬉しいことは変わりなかった。

学生の頃って、痩せてるイコールステータスみたいなところがあると思う。

大人になったら、そんなことはそんなに重要では無いことを知るんだけど、この時の私は見た目が全てだと思ってた。



文化祭、体育大会の準備が始まった。

準備は陽キャラの女子達が中心となって進められていた。

その日は体育大会で使う横断幕を作っていた。

デザインが決まり、下書きが終わり、本書で下書きの線をなぞる所まで作業は進んでいた。

私が、その下書きの線をペンを使ってなぞっている時、「1発でなぞってくれない?」と、隣で作業していた女子から言われた。

その子はスクールカースト上位のボスの友達だった。

「うん」

私は小さく頷くと、それに従った。

でも、どうして描き方まで指摘されなきゃいけないんだろうって思った。

どっちの描き方でも見た目は変わらないのに。

けど、逆らったら良くないって思った。

自分の立場がこれ以上危うくならないように。

そう思ってぐっと気持ちを押し込んだ。

あぁ、息が詰まるな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る