第17話


情報の授業は1クラス分のパソコン台数がなかったため、2つの教室を使って行われていた。

私と梓衣華ちゃんは悲しいことに離れ離れになってしまい、別々の教室で授業を受けることになった。

クラス分けでは、陽キャが大半を占めている方に分けられてしまい、私は肩身の狭い思いで、授業を受けていた。

そんな情報の授業での未だに忘れることの出来ない嫌な出来事だ。

その頃は、衣替えが終わったくらいだった。

生徒達は環境に慣れ、制服を着崩している生徒が多くなっていた。

私もその1人で、シャツのボタンは第2まで開け、スカートの丈もまぁまぁ短くしていた。

スカートの長さには自分なりのこだわりがあって、そこまで短くすることは無かったから問題なかった。清楚に見えた方が女の子はいいよね。ってこだわり。なんか、女子高生があんまり制服のスカート丈短いと汚く見える気がする。私の勝手な偏見。

けれど、開いた胸元に関しては全く気にしていなくて、本当に軽率だったと思う。

私は、平均女性より、胸が大きかった。

それも体型が太っているとかではない。

どちらかといえば痩せ型だったと思う。体重的に。

そんな胸囲でパソコンのデスクにもたれてダラダラ作業するもんだから、大きく開いた胸元はかなり目立っていたらしかった。

ふと、周りがどれくらい進んでるか気になって私は隣のパソコンの画面見た。

すると、隣の席でさっきまで、作業していた男子が居ない。友達に分からないところ聞きに行ったのだろうか?

そんなことを呑気に考えていた。

私使うパソコンデスクの奥は、何も無く、人が10人くらい集まれる謎のスペースがある。

その不自然なスペースにぞろぞろと作業を止めた男子達が集まり始めた。

「????」

何??私なんかおかしい??

そう思って自分の回りを調べると、私はようやく男子生徒が集まっている原因を突き止めた。

原因は大きく開いた胸元だった。

すぐに隠したかった。でも、すぐに隠したら自意識過剰に思われるんじゃないか、そう思うとボタンを閉めることも出来ない。

とりあえずこの時間だけは我慢しよう。

私はその時間、男子生徒の視線も下品な言葉の連呼も、気付かないふりをして耐えるしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る