第13話


「で、あれから告白の返事はしたの??」

私は、教室で話して、聞かれたら良くないと思い、教室を出た、すぐ側の廊下の窓際に梓衣華ちゃんを呼びだし、数日間気になっていた質問を投げかける。

「したよ!断った!」

「そうなんや、」

まぁ、そうだと思った。

梓衣華ちゃんは好きでもない人と付き合ったりしないだろうし、私と違って。

それに恋愛なんかしてる余裕なさそうに見えるし。

「だって、私安田先生すきだし」

え?え?なんだって??

予想外の名前に驚きを隠せない。

「ええ???いつからなの??てか、どこがいいの!?」

「先生の良さとか、言い出したらキリがないんだけど、とにかく可愛い。たまに恥ずかしそうにはにかんだ時とか最高!ちょっと舌足らずの話し方の破壊力とかヤバい!」

こんなにテンションの高い梓衣華ちゃん貴重すぎる。

それに、恋をしている女の子ってほんとに可愛よね。キラキラしてる。

でも、、

「先生と生徒って報われない恋になるよね、、」

梓衣華ちゃん大丈夫かな??

「それは大丈夫!先生は私のアイドルみたいな存在だから!」

「ん?どういう意味?」

「アイドル好きがこの子が推しっていうのと同じ感情。」

「あ〜。応援したいとか、目の保養的なの?」

つまり、付き合いたいとかイチャイチャしたいとかではないと。

「そうそう」

なんだそれ。

まぁ、梓衣華ちゃんらしいけど。

「私、アイドルとか興味なくてそういう感情になったことないからわからんわ笑笑」

「うーん、理解して貰えないか」

梓衣華ちゃんはそういうと私のリアクションが不満なのか自分の下唇を指で摘んだ。

「わからんけど、言いたいことはわかったよ笑笑」

「そっか」

「うん」

「そういえばね、ウチ菅原くんと付き合うことになった。」

私は梓衣華ちゃんの耳元に顔を近づけ小声で言う。

「おぉ!おめでとう!」

「でもね、もう冷めてきちゃった」

「えぇ??なんで??」

「なんかね、昨日一緒に帰ったんやけど、まだ話し足りないからって、私の家の近くの公園で話すことになって。」

教室の方に目を向けると、教室の空いた扉から、友達と楽しそうに会話している菅原くんが見えた。

「で、まぁいい感じの雰囲気になって向こうから手ぇ繋いできてん。そこまではいいんよ、けどその後、恋人繋ぎに変えてきて、それがなんかキモってなった。」

「何だそれ?それは菅原可哀想、、、」

「そうやよね、私も自分の軽率な行動に軽蔑してるとこやよ。実は、初めから好きでもなかったし。」

「まじか。」

「うん、誰かと付き合うってどんな感じかなって興味があっただけというか」

梓衣華ちゃんは、私のとんでもない発言に動揺している様子だった。

今までの私は梓衣華ちゃんの目には良い子に映っていただろうから。

ごめんね。私はこういう人間なんだ。

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