第12話


私は、人間としてあるべき感情が欠落していた。

それは愛情とか、思いやりとか、そういう感情だ。

中学生の頃くらいに親に言われて初めて気づいたことだった。

あの人は毒親だけど、間違ったことは言わない。それが真実だから余計に傷つくんだけど。

このことに関しては言ってくれて良かったと思ってる。自分では気が付かなかったから。

自分に欠陥があると気づいてからは、人をよく観察するようになった。

普通はどういう行動をとるべきか。周囲に冷たい人間だと思われないようにしてきた。

まだ私が思う優しい人間にはなれていないけど、随分マシになったんじゃないだろうか。


菅原くんに別れを告げてから、私は彼の行動に悩まされていた。

それは、「最近菅原くんにつけられてる気がするんやけど」

私は授業後の少しの休み時間、私は梓衣華にそっと耳うちで話した。

「え!?」

「学校の帰り、バスで絶対一緒になるんよ。時間をずらしても一緒のに乗ってる、、、」

「え!?怖!ストーカーじゃん!」

梓衣華ちゃん、声が大きいよ。

私は、静かにするようにしーっとゼスチャーで梓衣華ちゃんに伝える。

「うん、私もこんなことされた経験ないからどうすればいいかわかなくて」

「私が言ってきてあげる!」

梓衣華ちゃんはそう言って、私の肩をぽんっと叩くと私を残して、菅原くんのいる席へ行った。

そして、暫くして戻ってくると、

「注意してきたからもう大丈夫だよー」

そう言ってにっこり笑った。

「ありがとう」

私は、梓衣華ちゃんの勇敢な行動に感激していた。

やっぱ、梓衣華ちゃんすごい。

普通誰かの為にここまで行動的に動けるかな?

まぁ、私に普通の感覚はないのだけれど。

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