第7話
放課後の教室でカチカチとゲームのボタンを忙しなく押す音が聞こえる。
それほど教室は静かだった。
梓衣華ちゃんと田村 海里くんが対戦ゲームに夢中になっている中、私は何をするでもなく2人がゲームをしている姿をぼーっと見ていた。
暇だ。
梓衣華ちゃんは
ゲームに夢中で全然私の相手をしくれないし。
どうしようかな?帰っちゃおうかな?そんなことを考えていると、自分の席で読書をしていた菅原くんが私を手招きして呼んだ。
え?え?何?
内心ドキドキしながら菅原くんの席の側に寄る。
すると菅原くんは隣の席の椅子を自分の机に寄せて私が座るように促した。
私は勧められた通りに座る。
「暇でしょ?ゲームする?」
菅原くんはそう言い、自分の鞄からゲーム機を取り出した。
確かに暇を持て余していた。
けど、目の前の菅原くんに緊張しすぎて、私はそんなこと考える余裕もなくなっていた。
「うん!」
それでも、接近できるチャンスを逃したくない!って思いが勝ったのだった。
ゲームを開始してから30分が経ち、私は完全に彼と打ち解けることができていた。
人見知りの激しい私がどうしてこんなにも早く彼とができているかと言うと、私が実はゲーム好きという事実があったからだ。
人間、好きなことをすると、素の自分になる。と言うし、その原理が上手く働いたんだと思う。
私の内に秘めた明るい一面が、本領発揮してくれた。
菅原くんには、大分好印象を与えられたのではないだろうか?
うん。そうだといいな。
そんな楽しいひと時もあっという間に終わりを迎えた。
そして、その後、梓衣華ちゃんにめちゃくちゃ謝られた。
本当に悪気は無いんだよな、この子。
こう言うところが憎めない。しょうがないなぁって思っちゃう。
まぁ、梓衣華ちゃんがゲームに夢中になってくれたお陰で、私は菅原くんと急接近できた訳だし。
許してあげよう。
けど、そんなことがなくったって、梓衣華ちゃんが何しても私はきっと許しちゃうんだけどね。
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