第4話


バスが目的地へと到着し、学校の関係者が借りたと思われる建物へと入っていった。

教室の2倍くらいの広さの部屋に入れられて、輪になって床に座るように指示を受けた。

床にはマットが敷かれており、少し潔癖症な私が座っても汚いとは感じなかった。

担任が輪の中心に立ち、話始める。

「これから一年間この仲間達と苦楽を共にするにあたってクラス目標を決めたいと思う!」

うわぁめんどくさいなぁ黙ってまり過ごそう。

そう思って、担任と目が合わないように俯いた。

「じゃあ挙手してもらおうか!」

辺りはシーンと静まり返り、その言葉に反応する生徒は誰一人としていなかった。そういう協調性のない生徒の集まりだということがまだわからないのか。

「うーん、困ったなぁ。じゃあしょうがないから一人一人順番に聞いていくか!」

そういうと、担任は、細川、佐々木、と順番に案を聞いていく。

その時の私はというと、パニック状態だった。

どうしよう。どうしよう。

ただでさえ自分の意見を言うのが苦手なのに。

こんなに大勢の前で言うなんて無理に決まってる。

頭が真っ白になり、何も思いつかない!

「次、真城!」

「全力前進、、、」

ボソっと小さな声で呟くように発言した。

これは中学の頃のクラス目標だった。どうせそんなこと知る人誰もいないんだし。いいでしょ。

「うわぁ、真面目、、、」

って誰かが言ったのが聞こえた。

それも、悪意がある言い方。

「いいじゃないか!なぁ!」

私が今の言葉で傷つかないように、すかさず担任がフォローする。

別に私が考えた訳じゃないから何とも思わないんだけど。

そんな感じで私のクラスの目標が決まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る