第2話

試験に合格した私は、入学式を迎えた。

入学式が終わると、クラスを確認し、教室に移動する。教室の黒板には、座席表がチョークで書かれていた。

私はその通りに席に着くと、身体を硬直させ、俯いていた。

周りが早く友達を作ろうと、自己紹介をし、談笑を始める中、私は何もできずに変わらない姿勢で固まっていた。

すると、私の前の席の女の子が話しかけてきた。

「私、宮田 梓依華。名前なんていうの?」

「うちは、真城 沙莉華」

「名前似てるね!どんな字書くの?」

そう聞かれ、私はブレザーのポケットから携帯を取り出して、名前を変換してみせる。

「おぉ、華って字が同じだね!この字名前に使ってるの珍しいよね?」

「うん、普通植物の花とかやよね。書きやすいで。」

「そうそう、え?出身って関西の方?」

あ、と思った。今まで何も言われたことなかったけど、やっぱり初めて話す人は違和感を感じるのか。

「ううん。岐阜の方。岐阜市やったかな?転々としてたから覚えてないわ」

「え?もしかして転勤族?」

転勤族とは???

お馬鹿な私はその言葉の意味が全くわからなかった。けど、とりあえず頷いた。

初対面で、自分の頭の悪さを気づかれたくない。

「一緒だ!」

そう言って、梓衣華ちゃんは私の手を両手でぎゅっと掴むと、にっこりと笑った。

「席も近いし、名前も似てるし、転勤族だし私達共通点多いよね!すごい!」

「うん!すごい」

彼女につられて私も笑った。

「ねぇ、私達友達になろう?」

彼女のその言葉か嬉しくて私は笑顔で頷いた。

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