六人目はどう考えても呪われているとしか思えない死に方だった。


 興味心で私と婚約したその人は、襲い来る暴漢を素手で撃退し、暴れまわる馬車の牛をすぐになだめ、燃え盛る家から無傷で脱出するような人間だった。


 けれど、そんな人間でも病には勝てなかったらしい。


 遠くの地でしか確認されていなかった病にかかった彼は、数か月の闘病の末、意識不明の体になってしまった。


 医者からはもう回復する事はないだろうと言われているが、家族は延命治療を施している現状。


 ここに来てようやく私は現実を受け止めるしかなくなった。


 私は本当に、呪われている、という事実を。


 そうなれば、もうこの呪いに他人を巻き込む事はできない。


 一人で生きていくしかないだろう。


 私はその日から、頑張っていた婚約者探しをすっぱりと辞めた。


 一体どうしてこんな体になってしまったのか、誰か教えてほしい。


 けれど、どんなに調べても、原因は分からなかった。








 遠い昔、想い人と別れてしまった女神は。


 考えた末に、自分の願いを叶える方法を思いついた。


 そして、女神は自分の子孫にある加護を残す。


 転生を繰り返す自分の魂が、


 いつか清いまま、相手と出会えるようにと。


 だから、誰とも結ばれないように、と。


 それは女神の愛の加護。


 けれど、転生した者達にとってはただの呪いとなった。



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婚約破棄されすぎ令嬢ファティ:死 ―呪殺令嬢の日常― 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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