最終回?
階段に出れば、綺麗な夕焼けが見えて。そろそろ夜が訪れる。
上がりきるくらいの所に、部長と
「
「! あ、おまえら~!」 「! じゃ、私引き付けるから!」
私は占い師とかの水晶で普通のイメージだったけどやっぱ大きいな、思いつつ渡せば、アレがこちらに気づいて
どうせ私の方追ってくるんでしょ!知ってる!!と脳内で考えながら走れば、やっぱりこちらに来て。理由はわからないけど、とりあえず逃げる。
「っ…」バッ 「!っあ”」 「えっ…」 「今だ!!
流石に休みなしでそんなに走れないので、最悪取っ組み合いになってでも。と思って振り向くと、後ろからあの人がアレの動きを止めた。
恐らく皆と対面するような位置だった私しか見えてないだろうけど。
…彼が、アレの横腹に包丁のようなものを刺していた。
「…れ、」 「っ…」 「あ…」 「え…?…な、んで…?」
アレが、こちらに片手を伸ばして何か言おうとした瞬間。水晶がアレに当たって、2人が消えた。やっぱり、と思えば視界の先には驚いた顔の
…あぁ、そうか。
「な、なんで?どうなってるの? なんで、お兄ちゃんも…」 「…」
「うわあ!?」 「!」 「…あ、れ?…皆?」 「…
困惑してる
「あれ?なんで皆いるの?って、え?! なんでもう夕方になってんの?!」
「…
「え?覚えて…?って、
どうやら偶像の中にいた記憶はないらしく、包帯をつけてる私と部長に驚いていた。…色々な事が同時に起きて、正直混乱していた。…だけど、それは
「…ぶ、ちょう」 「あ、あぁ…大丈夫か?」
「…後で説明するので、今は…私と
「…ああ。
「…はい」 「…わかり、ました…」
今の
…私は。短い付き合いだし、彼がいなくなった事は、なんとなくわかってたから…そこまで悲しくなかったし、すぐ区切りをつけることができた。
「…」 「…ねえ、
「…お兄ちゃんは…なんで…いなくなったの……」
偶像を取りに行こうと動いた時、1人泣いていた
「…わかんない。…私が知ってる情報以上の事を、お兄さんは知ってた」 「っ…」
「…
もしかしたら、お兄さんもお願い事してたのかもしれないし…」
偶像を手に取れば、ゾワッと手から何かが侵食してくるような気持ち悪い感覚がして。隠して
偶像を元々置いてあったであろう場所において、言う。
「…電話を切った後、お兄さんが
「えっ…」 「最初っからいくつもりだったんだ。偶像の中に」
…あぁ、嫌だ。いつもそうだ。残された側は、悲しさと虚しさに蝕まれる。どうしたらいいのかわからないもどかしい時間。
ただ、傍にいる事しかできない時間は、
「何で…お兄ちゃんは逃げなかったのかな。…私達を、助けてくれたんだろう」
「…きっと誰かのためだよ」
逃げなかったのは、仲間と誰か来た時助ける為。助けたのは、優しいのと
身代わりになったのは、自己犠牲の精神と、誰も欠けさせたくないという配慮。
…その配慮と自己犠牲で、残った美琴の事も考えてあげてほしかった。
手を繋いで歩き、夕食時には着いた。
翌朝。支度をした皆は、
車の中。山を眺める
「…
彼女はこちらを振り向くことはなかった。が、掴んだ手が微かに握りしめられたことだけが、彼女がまだ兄を諦めてない照明なんだろうと思った。
―――――
あれから、部長が1人ずつ家に帰らせてくれて、家に帰ると怪我を心配された。
包帯は滝壺でぶつかった所で、外しても青くなってただけなので外したけど…家族の心配も、今は面倒だった。正直、心の整理がまだついてないのかもしれない。
でも、私は生きてる。
…でも、私には行動する資格はない。
私は、彼の言葉を無視してしまったのだから。
夏合宿に起きた不思議な数日 スイートピー @SANdown
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