第5話
とりあえず食べ終わると、作戦会議をする。
「
「主に神社周辺だが…あっちのテントに行ってよく食料は持って移動してた」
「あ…」 「…あの、貴方以外はどこに?」 「「!」」
「先輩!?」 「いや…大丈夫」
「いや…純粋な疑問です。森で貴方の仲間らしき人達も血痕もなかったし…」
仲間の分であろう食料を取りに戻ってたんだろう。…だけど、あのテントの横を通っても人の影はなかったし、山も死体を誰も見かけてない。血痕は…一撃でなら仕方ないけど。
「その疑問も勿論だよ。…死体は、今は山の洞窟に隠してる。ほら、マップに戦争の時にあった防空壕があるでしょ? そこの奥に持って行って…血もふき取ってばれないようにしてる。流石に殺された場所はふき取れてないけど…」
「…そうですか。なら、この洞窟はなさそうですね」 「まぁ、そうだね」
筋は通ってる。でも、いつ自分の命が脅かされるかわからないのに、そんなことできる人いるのかな?とは思いつつ話やはりす。頂上近くとキャンプ地周辺はなかったらしく、どれくらい前かわからないし埋まってる可能性も浮上した。
「しかし、そうなると見つけるなんて不可能だろうし…」
「先輩…大丈夫ですからね…」 「…。ねえ、私気になる所あるからいい?」
「どこ?」 「さっきの滝壺周辺。多分なんもないからすぐ適当に探す」
「それ、僕もついて行っていいかな?」 「お兄ちゃん?」 「何でですか?」
「聞いた所によると
「!」 「いや、それは単に効率がいいし、1人がタゲとった方がいいでしょ」
「…
「だろうね。…だから、取り付いてる邪悪なものが殺そうと執着する何かがあるんだと思ってる。それに一番今追われたら逃げれなさそうだし」
「…わかりました。皆はどうするの?」 「俺は
「じゃあ私と
そう言って皆別れる。…正直知らない人と一緒なの凄い人見知りするんだけど…。今は緊急事態だし…。滝壺の方につくと、彼が話しかけてきた。
「違和感…?どこに感じたの?」 「えっと…あ、ほら」
滝の横。突出した岩が明らかに人工的に四角くされていた。苔も生えているから、わかりにくいけど…言いながら触れば彼も気づいたみたいだった。
「確かに…でも、引っ張っても押しても特に…」 「ん~…」
まぁそんな技術力昔の人持ってないだろうから、目印かなと思ったけど…。
そう考えながら崖と滝の間の隙間に体を入れていくと、すぐに空間に出た。
「あ。あの!洞窟ありますよー!」 「えっ…!? すぐ行く!!」
滝の音で聞き取りずらかったが、何とか聞こえたらしく少し濡れながらこっちに来た。洞窟は滝のお陰か涼しくて、奥に続いてそうではあった。が…
「…暗いな」 「懐中電灯…ガチャガチャのちっさいのだけどある」
「有能」 「使うつもりなかったんだけど…壊れてないかな」
キーホルダーみたいになってるやつ。結局一回も使ってなかったし滝壺に一回入ったからからまずつくかすらわかんないけど…と思って取り出す。
「ついたね…よかった」 「早くいきましょ。急がないと…」
そう言って彼を置いてさっさと行く。…独りだったら絶対怖くて誰か呼んでたから、黙ってついてきてくれてよかった。
洞窟は若干上り坂になっており、奥に行くと右に道があったが突き当りだった。
「何もなさそう…だね」 「…いや、行ってみよう」
彼の発言に同意しかけたが、もしあの男が気づきかけてここまで来た時騙すための物だったら?と思って、念のため奥へ向かえば、一部の壁が急にへこんでいた。
「! これ…ここ、行ける」
「えっ…! 本当だ…細いけど…何とか通れそうだね。…どっち先に行く?」
「…私が行く」
こんな時程通話してたらよかったと思うことはない。でも、お昼の通話で充電がなくなってしまったから、半数の人がコテージで充電してるし。
体力的に考えたら彼の方が逃げるには有利だから、彼に後方を任せた。
狭いと言っても横になれば私くらいなら壁にギリ当たらない。
「え……」 「どうした? 何かあった?」 「…あった」
そう言って歩いていく。視界の先には土台があり、その上には水色に光を放つ水晶があった。水晶かはわからないが、明らかに人工的にできた光源となっている鉱物だし、恐らくコレがそうなんだろう。
触るのは危険かもしれないので、土台の周りを一周すると、裏側の土台の中に古い本があった。あの神社で見つけたやつのような。
「…」 「あ、…! それ…」 「これが水晶っぽいね」
「そんな軽く…はぁ、それは?」 「なんかあった。みる?」 「うん」
通れたんだ、と若干失礼な事を考えつつ、彼が近寄ってきて一緒に本を読む。
本の内容は、簡単にまとめると
・偶像に封印されていたのは悪魔。
人の願いを叶える代償に、その人の大切な人を殺して奪う。
・短刀は邪悪なものを体から祓い、水晶は邪悪なものを偶像に封じ込める。
「短刀…?」 「また別の所にあるのかな…?」 「…そうなのかも」
「じゃあ…これをもって向かおう。多分、君が持ってた方がいい」
「…なんで?」 「君が狙われてる可能性があるから、一番近づきやすい」
「…」 「…どうかした?」
なんだか、誘導されてる気がして。わざとらしく感じた。でも、短刀の場所を知ってるとしてもその情報を共有しない理由がわかんないし…いや、それより…。
「…
「…恐らくだけど、悪魔の分偶像を埋めてるんだ。だから、悪魔を封印すれば現れると思うよ」
「え…?」ブー、ブー 「!……もしもし」
突然の言葉に困惑して顔を向けるが(なんでそう言えるの?)と聞く前に電話が鳴った。若干疑いの目を向けつつ電話に出る。
[
[今神社で止めてるから!] 「えっ、と、とめてる!?」 「どうしたんだ?」
「あっ…えと、神社にアレいるらしいんで、早くいきましょう」
この兄妹は言葉を端折り過ぎてわからない。止めるって何?!と思ったが、彼の言葉を聞いて水晶を持って外へ走る。私は小柄だからスピードは余り緩まなかったが、彼は平均はある為少し距離が空いた。まぁすぐ追いつかれたが。
「ねえ!まだ電話してる?!」 「してる!」
「
[えっ、ええ!?なんで私が…] 「一番信用してるからだ!」 […わ、わかった!]
隣に並走してくるからスマホを2人の間にして話す。なんかナチュラルに引き付け役にされてる気がするけど、まぁ別にいいか。電話を切ってウエストポーチの中に入れて走ると、また声をかけられる。
「大丈夫?ごめんっ、勝手に引き付け役って、言って」 「別にっ…」
「…ねえ、」 「なにっ」 「…
多分合わせてくれてるんだな、と思いつつ話をすれば、突然そう言われて。
…このタイミングだと、まるでいなくなるみたいで嫌だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます