第3話
結局、本館?っていうのかな。そこに情報は何もなかった。今考えれば出た後真っ先に探される場所だから、ここに情報を残すわけがない。
情報があったのは、離れの倉庫みたいな場所。祭りの際使ってたであろう色々な物の奥に古い本があって、確かに最近読まれたのか埃が積もってなかった。難しい事が色々書いてたけど要約すると彼がいったのと同じ。ただすぐばれるから神社にはおかない、ってことだけ。
「はぁ…」 [そっち何か情報あった?] 「特に…神社にはないよってくらい」
[そっか、こっちは一応
「!」
[だから、今は部長はキャンプ地周辺、
確かに滝の音が聞こえるが、
ザッ、ザッ、と足音が近づいてくる。小さな小屋の中。アレが来たら逃げ道はない。…敵意のある武器持ちの大人に、運動部でもない学生が勝てるわけがない。
「「!」」 「君は…」 「…っはぁ…あなたですか…」 [
「いや…」 「僕も、また会うと思ってなかったよ」
突撃でもしてよろめいてくれればいけるかもしれない。と思ってジッとみていた。
が、出てきたのはあの時情報をくれた彼で。思わず力が抜ける。彼も少し驚いてる様子だった。外に歩いて出て、周囲にいないのを確認しながら話す。
「なんでまだここに?」 「運転手が怪我してるのと、仲間が巻き込まれたので」
「巻き込まれた…?」 「願い事をして、偶像に入ったって言われました」
「入った…?」 [
なるべく名前を出さないようにして情報を出す。まだ完全な味方かわかんないし。
[…ねえ、その人って何て名前?] 「?…あの。名前なんていうんですか?」
「あぁ、ごめん。
「名前、
どうしたんだろう? と思いつつ、ワイヤレスの接続を止めて渡す。
何やら話し込んでたので、その間周囲をキョロキョロしながら話を聞いた。
…どうやら
あ。そっか、
そう考えて、周りを見ていなかった。
「お~まえらー!!」 「「!!」」 「っ、あっち逃げろ!」 「えっ、」
神社の裏から血濡れのあの男が走ってくる。貴重な情報源であり
やっぱり見晴らしのいい私の方に来て、頑張って階段を下りて獣道を行く。
「はぁ、はぁ…」 「ま~~~て~~」
幸い何故か走っては来ない様で、ガサガサと音を出しながら剪定鋏を振り回し邪魔な枝を切っていた。ある程度太い枝も、ハサミのようなタイプじゃなくナイフのような感じでスパッと切ってる。切れ味よすぎない…?
[
獣道は、最終的に頂上につく。頂上付近は
「…」
…絶対怪我する…いや、これくらいしないと。そう思って、下り坂を走る。
まぁほぼ滑り落ちてたけど…坂を下りてみれば、そこに彼の姿はなかった。
「…撒いた?」 「っちょ、
「
「あぁ、2人とも大丈夫です!」 [
一先ず安堵するが、逆に言えばどこにいるかわからなくなった。しかも森なんて、音を出さないようにされたら突然背後から襲われる可能性だってある。
「!先輩、足怪我してますよ」 「え?あぁ…大丈夫。それよりそっちは?」
「はい、全然…偶像持ってるんで、ちょっと探すのは遅いですけど」
言われて初めて気づいたが、小枝か何かに引っかけたような傷がある。
まだアドレナリンが出ているのかそこまで痛みはないし大丈夫だろう。
後輩君は大事そうに偶像を抱え、悲しそうに笑った。
「…大丈夫。きっと何とかなるよ。水晶で邪悪なのどうにかできるんだから、うまく使えば出すこともできるよ。きっと」
「!…そう、ですよね。俺っ、もっと探してきます!」 「…うん、」
彼が走って行ったのを見て、ふと思う。…その水晶が隠されたのはどれくらい前なんだろう?もし埋められてたら、そして土砂崩れとかあって流されてたりしたら…。
…いや、変な事は考えないようにしよう。絶対どうにかなるはず。
「…あつ…」
動くのは好きじゃなかったんだけどな。翔也を元に戻したら、絶対怒ってやる。
でも…どう探せばいいんだろう…。
[キャア!!] 「!? み、
突然の叫び声に肩を震わせる。走ってる音で聞こえにくいが、確かに男の人の声が聞こえていた。でも、どこを探せばいいかわからない。
…いや、こういうわけわからん現象は部長がい地番知ってるし、行ってみるか。
「…ど、どういこう…」
山頂近くへ行くはずの道は今
「はぁ…はぁ…」
やっと戻ってこれた。キャンプ地に来る頃には、美琴も逃げ切ったらしい。
また誰か襲われる前に早く見つけないと、とコテージに入ると、部長がいて。
「!
「どうしたんだ?」 「こういう…山とかの神聖スポットとかなんかわかります?」
「さぁ…頂上とか水辺とかかな…?でも水辺は悪いイメージのが強いかも」
「水辺…?」 「聖水とか…命の水とかの人の寿命は流れる水の例えもだね」
「…成程?よくわかんないけどそういうのがあるんですね、行ってみます!」
水辺は幽霊とかがいる的な話しか知らなかったから盲点だった。
キャンプ地にも川があるし、確か滝もあるらしいから…遡りながら探せば見つかるかもしれない。外に出て山の案内図みたいなものを見ると、少し遠回りだが崖の上への登る道もあった。…ここら辺は部長が探すし、上から探すか。
「ちょ、ちょっと待って」 「?部長?」
「グループラインで通話しない?全員と通話できた方がいいし」 「あっ…ハイ」
そうだった、折角部活でのラインがあるのに…。と思わず笑ってしまった。通話を開始し、皆が入ったのを確認して、見つかったなどの証言もなく…それぞれ皆探す所を言い合って、私は崖の上に向かっていった。
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