第4話

辺りが暗くなってきだした。


「もう暗いから辺りが真っ暗になる前にここらで野宿でもしようか」

「野宿!?」


世界の終わりが来たみたいな調子で驚く。あれほどのお嬢様だから野宿などしたことがないのだろう。

俺は焚き火を作り、晩飯を森の中に採りにいった。幸い近くに川があり、魚を二人分ほど捕まえた。


「晩飯採ってきたぞ」

「えっ!?それ食べるわけじゃないでしょうね!?」

「いや、食べる以外にどうするというんだ」

「そんな生臭いの食べないわよ」


晩飯が魚と決まると落ち込んで「生臭いから」という理由で焚き火から離れた木に隠れる。

そう言いながら、匂いにつられていつかやってくるだろうと考え、魚を焼き始めた。


「いい感じに焼けたな。もうそろそろいいだろう」


すると、リナが木から顔を出してじーーーっと見ている。


「腹減ったろ?来なかったらお前の分も食うぞ」

「食べる!食べる!食べるから待ってよ!」


その晩はお互い魚を食べて就寝した。朝が明けるとまたおんぶをして山登りを再開した。

今日はそこまで抵抗せずおんぶを了承してくれた。そしてやっと山を越えることができた。


「リナが言った通りだともうすぐ着くはずだが、降りないのか?」


余程おんぶされるのが落ち着いていたらしく、山を越えたのにまだ背中に乗っていた。


「あんたに言われずとも降りるわよ!」

「痛っ!」


リナが乱暴に降りて背中を痛めた。

色々あったがやっと巨大な洞窟が見え、洞窟内に入った。


「秘密と言っていたが、何故ここに来たんだ?」

「昔、亡くなったお母様がよくここに生えている花が大好きだったの。それをお母様の墓にお供えしたくて。爺やにはまだ母のことを思っているって知られるのが嫌であなたと一緒に来たのよ」

「そうだったのか……。お母さん喜ぶといいな」

「うん」


洞窟の奥へ行くほど中から肌寒い空気が伝わってくる。天井には所々大小様々な穴があり、辺りを照らしている。


「上に開いた穴はなんだ?」

「私がお母様と来た時は無かったはずですけど」


上からの明かりで洞窟の鉱石が光り輝いていた。


「綺麗ですわね」

「ああ、まるで夢見たいな景色だな」

「ありましたわ!」


目の前に広がる花々に駆け寄る。

だが、その花々の周辺には寂れた剣が散らばっている。何かがおかしいと疑問に思ったが、すぐに答えは出た。

その時、洞窟全体に響き渡るほどの揺れが走る。


「おかしいぞ!この揺れはなんだ!?」


明かりが途絶えている洞窟の奥から体長10m程のドラゴンが現れた。


「リナ!危ない!」


ドラゴンが周りの岩壁にあたり、破片が飛び散る。

俺は剣聖と戦った時以上の速さでリナの元に行き、飛んでくる岩々の軌道を剣捌きで変え防いだ。


「出口に戻るんだ。こいつは俺がなんとかする」

「大丈夫!ユーリの背後にいるから気にしないで」

「危ないぞ!」


そうこう言っている内にドラゴンが巨大な尻尾で俺たちに攻撃してきた。土壇場の馬鹿力が働いたのか尻尾を剣で食い止める。ドラゴンが態勢を崩した隙に背中に飛び乗り、ドラゴンの頭上から剣を目に突き刺した。


ヴォァァァァ!


ドラゴンが雄叫びを上げる。怯んだ隙に頭から腹にかけ落ちながら剣を斬り込むとドラゴンは倒れた。


「こんなところにドラゴンがいるとは……リナ怪我はないか?」

「ないわよ。さすが私のボディーガードね」


安心していたが、後ろから微かな気配を感じた。瀕死のドラゴンが爪をこちらに刺そうとしていた。少し対応が遅れ、食い止めれないと思った……

しかし、次の瞬間信じれないことが起こった。


グサッ!


「え……」

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