第9話 賞味期限

 ある日の事、おつまみコーナーの商品の一部が賞味期限切れ、もしくは期限切れ間近である事が発覚した。


 皆さんがもし、食品や飲料を品出しするとしたらどうやります???

 当然新しい商品は奥に入れますよね??

 期限があるのだから。

 これはそういう話です。


 ここまで話せばもうお察しかと思いますが、やらかしたのは大坪です。


 さて、期限切れが発覚した際バイトの子はすぐに店長に報告した。

 すぐに、店長は


 「そこのコーナーの期限チェックしよう!」


 と数人がかりでチェックを行いだした。

 するとそこへやって来たのが大坪だ。


 「私が期限を見ないで適当に出したからですかね」


 と言い出した。


 「はッ!?」


 店長は一瞬理解出来ずにいた。が、すぐに


 「なんで見ないの?」


 と言った。当然の疑問である。

 そこからどう受け答えがあったのかはわからないが、とにかく店長とバイトの子はチェックに取り掛かった。


 それを見た大坪は、


 「じゃあ休憩頂きます」


 と、そそくさと立ち去ったらしい。


 【すいませんでした】


 も、


 【ありがとうございます】


 も、


 【休憩終わったらすぐに手伝います】


 も無し。


 「休憩行ってきマース」


 と軽いノリで悪びれもなく立ち去るその態度に話を聞いた佐伯も呆れ果て、もう笑うしかなかった。


 このお店では決まった時タイミングで賞味期限をチェックするのだが、忙しい時やその日の出勤人数によってはなかなか出来無いこともある。

 もちろん期限切れがあってはならないが人間ミスをしてしまう時もある。

 しっかり見ているつもりではあるのだけれど……。


 しかし一部が、と言うか大坪がこういう訳分からないことをしてしまうと企業の信用に関わり、損害を与えてしまうレベルにまで及んだりする。


 大坪がその責任を取れるはずもないが、だからこそ出す商品のチェックくらいヤレヨッ!!

 と、誰もが思っているだろう。

 そしてまた同じようなことがあると


 「また大坪でしょ?」


 と誰しもが囁くのである。


 というかもう全部大坪だろぉ!!!

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