第7話 冷蔵庫ルール

 休憩室には小さな冷蔵庫がある。2リットルのペットボトルを寝かせて8本入れればほぼパンパンになる大きさと、その半分くらいの広さの冷凍庫。


 ここには従業員の飲み物や昼ごはん等を入れる事を目的として設置してある。

 買い物のルールとして、休憩中に買い物する時は、【休憩中に消費するもの】(食べ物や飲み物等)と決まっている。

 そしてその消費できなかったものを冷蔵庫で保管と言うのがある。

 家に持ちかえる事を目的とした食材等の買い物は原則としてしてはいけない。

 仮にするのであれば車で保管しなければならない。

 基本は退勤後に買い物しなければならない。


 と言うようなルールがあり、皆それを守っている。


 が、お察し通り。大坪がそれを守る訳が無い。

 出勤前店内で食材を買い冷蔵庫に入れる。

 もちろん休憩中に食べる為ではない。

 家に持ちかえるための食材だ。

 大坪がそうやってでも買う目的、それは


 【勤務時間終了直後に打刻して即家に帰るため】


 である。

 もちろん幾度となく注意を受けているし、買い物中ですら言われることもあるが、一向に直る気配はない。


 しかし、そんな大坪にも転機が訪れる。


 先にも少しだけ触れたが、大坪は現在17時出勤。


 のちのちお話するが勤務時間は現在5時間。つまり休憩はなしである。


 に・も・か・か・わ・ら・ず!!


 店内で買い物した食べ物どころか、ほかの店で買い物した食べ物を冷蔵庫に。

 それを知った店長はカッチーンッ。

 佐伯が倉庫で作業をしている所に大坪がいて、それを目指してやってくる店長。


 「大坪さん冷蔵庫のアレ何??」


 口調は静かに、だが確かに起こっている様子が見て取れる。


 「勤務が終わってからだとア○タ○ビ○タが閉まってるので……」

 「冷蔵庫は休憩入る人が使うんだからね?飲み物以外は止めて」

 「……はい…」


 こうして大坪は飲み物以外の飲食物等をルール外で買うことはなくなった。


 ………はず。

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