第3話 椿の折檻? いえ、地球防衛軍出動です!
「正蔵から離れろ! 馬鹿者ども!」
「正蔵さま! 気を確かに!」
ララと椿が声を荒げるのだが、正蔵は身動きすらできずにいた。100名の美女軍団は正蔵から離れる気配がない。そして彼女達は、正蔵の、トランクス型の水着も剥ぎ取ってしまった。
「はああーん。殿方の匂いよ」
「私にも嗅がせてよ」
「濃厚な雄の匂い♡」
「どんなお顔の方なの? 見えないわ!」
正蔵に近づけない女性たちは、正蔵の水着に群がった。そして、正蔵に触れている女性たちは、自ら水着を脱いでいるではないか。
その様子を苦々しい表情で見つめている椿は、おかっぱの髪を逆立たせて叫んだ。
「もう、椿は怒っちゃいますからね! プンプンプンなのです!」
「ご愁傷さまだな。ぷぷぷ」
口を押えて必死に笑いをこらえていたララは数歩後ずさった。そして椿の全身から雷が迸り、その場にいた100名以上の美女と正蔵に雷撃を加えた。
「きゃ!」
「痺れる!」
「いやあん」
「あはん♡」
「うふん♡」
「いっちゃう!」
「あああああ!」
椿の雷撃を受け、その場にいた100名の美女は痙攣して果てた。正蔵はと言うと、口から泡を吹きながら意識を失っていた。そのだらしない姿を見た椿は、顔を真っ赤にしてぷんすかと怒っていた。
「うー! 正蔵さま! 女の人に囲まれたのは不可抗力ですけど、少しは抵抗してください。もみくちゃにされてアヘアへよがってたそのお姿はしっかり目撃しましたからね! 椿のスペシャル折檻アソートは始まったばかりですよ!」
椿は右腕をそれに向かって突き出した。その右腕から突然、雪と氷が噴き出す。真夏の太陽に熱く焼かれた甲板は、突如、氷雪に包まれた。ララはガタガタと震えながら椿に苦情を言う。
「つ、椿様。これはちょっと寒いです」
「そ、そうかもしれません。私も寒いです」
椿も一緒にガタガタと震えていた。三歳児の体は、寒暖の差に対して酷く弱いようだ。
その椿とララの眼前に、突如、妙齢の女性が姿を現した。白人で金髪。かなりのスリムボディに水色のドレスをまとっていた。
「ま、まさか、長門さん?」
ララの問いかけに、その女性は静かに頷く。
「この姿をお見せするのは今回が初めてです。某・艦船の擬人化ゲームに登場する長門さんは作者様もたいそうお気に入りだというお話しでしたので、私もビジュアル化するなら、ああいう清楚だけどグラマーで力強い感じの女性が良いとお伝えしたのですが」
「こうなってしまったと」
「はい。私、日本の戦艦なのに、こんなにスマートになってしまって、しかも金髪なんですの。これ、よろしいのでしょうか? そしてこんな、ひらひらしたドレスを着ていますし……」
ララと椿は唖然とした表情を崩せない。ララと椿も疑問を口に出していた。
「確かに、絶世の美女ですが……」
「やはり、漂う違和感はなんとも……」
二人の言葉に長門は頷いている。そして椿がぼそりと呟く。
「まるで、イスカンダルのあの人ですよね。どうしてこうなってしまったのかしら」
「馬鹿作者の趣味に決まってるだろ! 美女ならば何でもかんでもリスペクトしおって! 少しは著作権がどうのこうのとか考えろ。あの馬鹿者!」
「まあまあ、お二方、落ち着いてください。実は緊急事態が発生しているのです」
「緊急事態?」
ララと椿が顔を見合わせる。地球防衛軍に対し、そんな報告は来ていなかったからだ。
「萩市沖の見島に宇宙海賊が上陸し、占領しているのです。現在、長門艦体防護隊の戦闘用アンドロイドを派遣して牽制しておりますが、劣勢です。本艦の装備では島ごと破壊してしまいますので、防衛軍本体の出動を要請します」
長門の言葉にララが力強く頷いた。
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