第17話 ハルピュイア

砲台がハルピュイアのお姉さんを狙う。

翼を使ってお姉さんは直撃は避けた。

けど、弾がかすめて翼に火がついちゃったみたい。


「あつ、あちち。

 アチチチチチチー!」


翼の焦げたお姉さんが飛んで逃げて来る。


「オキュペテー姉さん」


慌ててケライーノさんが翼をバタバタ叩いて、火を消そうとしてる。


「魔王キスキル・リラ様。

 あのバケモノ、手強くて私達では歯が立ちません。

 森が燃え尽きてしまう。

 どうかお助けを」

「アエロー、おぬしは無事か」


「あの蜘蛛みたいの、何なの」


るるる子ちゃんの疑問にアブーが答える。


「あれはおそらく、封印された筈の古代兵器」

「おのれ、人間ども。

 あの様な呪われた兵器を持ち出すとは」


「おもしろそーじゃねーか」


アスモダイが言う。

この大男は空飛ぶ、ぐーちゃんに走って追い付いて来たのだ。

今も大木に捕まって、上空のキスキル・リラとアブーの話を聞いてた。


「遥か昔に人間も魔族も滅ぼしかけたという古代兵器。

 相手にとって不足は無いぜ」


赤毛の大男が大木の上から、多脚砲台へ飛び込んでいく。


ダンッと本体部に乗り込むアスモダイ。

『アップルシード』に着いた小型の銃砲が大男を狙う。

ズダダダッダ。

連続的な破壊音。


しかし赤毛の大男は腹をかいて見せる。


「チッチッ!

 かゆいぜ。

 そんなモンで俺様をどーにか出来ると思ってんのか」


気取って見せたアスモダイ。

だが、主砲が大男に既に狙いを定めていた。


「か~~!あああああぎゃーーーーーーー」


主砲の砲弾に吹っ飛ばされるアスモダイである。



「なんと、あのアスモダイを吹っ飛ばすとは!」


キスキル・リラは驚いている。


そのまま、主砲からは砲弾が打ち続けられる。

アスモダイを狙っているのか。

大砲の弾は当たりを焼き払う。


「ナメんじゃねー」


声が聞こえた。

赤毛の大男は砲台の脚に取りついていた。

身体のアチコチが焦げてる。


「身体が焦げてますな」

「アレだけで済むとはさすがアスモダイ、丈夫な魔人じゃ」


「鈍いだけじゃないの?」


るるる子ちゃんは辛辣なツッコミ。


アスモダイは大男。

その背はるるる子ちゃんを軽く超える。

2メートルは越える巨漢。

しかし砲台の脚はその巨漢よりもはるかに大きい。

10メートルは有ろうかと言うサイズなのだ。

しかし持ち上げる。

アスモダイは脚を持ち上げ、砲台そのものごとぶん投げるのだ。


「ヘッ、封印された兵器とやらも大したコトねーな」


「やったぞ、アエロー。

 バケモノは倒したぞ。

 アスモダイもたまには役に立つではないか」

「いえ、その魔王様……」


横に倒れた砲台はジタバタと脚を動かす。

簡単には起き上がれないみたい。


アスモダイはトドメを刺そうと近付く。

が、大男に砲弾がブチ当たる。


アレ、砲台は倒れてるのに。

この砲弾は何処から飛んで来たの?

とるるる子ちゃんが見てみれば。


六本の脚を動かす巨体がすぐそこに近付いていた。

何体も。


「魔王様、コイツラ一体じゃ無いんです」

「十台以上いて、だからわたし達じゃ歯が立たないと」


ハルピュイアのお姉さんが言う。

蒼褪めるキスキル・リラ。


「そう言うコトは早く言えーっ!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る