第16話 燃え上がる森林

「グーちゃん!」


るるる子ちゃんは呼ぶ。

グリフォンのグーちゃん。


「みゃーお」


ご主人様が戦っているのに、近くの森でノンキにお昼寝してた魔獣である。

僕、お昼寝なんてして無いよ。

そう言わんばかりに飛び立つグリフォン。

るるる子ちゃんの近くへ。

エイッと魔獣の背に飛び乗るるるる子ちゃん。


「案内して、アブーさん」


「おいっ、何処行きやがる。

 俺様を無視すんじゃねーよ」


それを追って走り出す赤毛の魔人、アスモダイ。



「わはははっはははは。

 進め、進め―」


古代兵器が放たれていく。

魔族と人間、その境界となる大河を渡った場所。

そこから魔族領へと古代兵器が次々と進軍していくのである。


その姿は異様。

人間を遥かに超えるサイズ。

六本の脚が動く。


ガシャンガシャン。

本体から伸びた鉄の脚が動き進んでいくのだ。

本体にはカメラらしき物と巨大な砲台。

小型の銃器と思しきものもある。


研究員たちは見守る。

その古代兵器の全容を解明出来てはいない。

しかし、あの脚を使って蠢く姿。

威圧的な異形。


やはり解き放ってはいけないものなのではないか。

そう思えてくるのだ。


「行け―、いてまえー。

 進め―、『アップルシード』」


そんな研究員の心も知らず、王はご機嫌。


古代兵器は森で動くモノを感知しては発砲している。


野生動物であろうか。

小型の銃砲が火を放つ。


大型の獣を発見すると、中心の砲台が動く。

轟音と共にナニカが放たれる。

辺り一面の森が火の海に包まれるのだ。




ぐーちゃんに乗ったるるる子ちゃんが境界に近づく。

と見えて来た。

森が燃えているのである。

鳥たちが飛び立つ。

逃げている。


るるる子ちゃんの近くに来たのは鳥人間のお姉さん。

両腕が翼、顔は人間のハルピュイア。


「魔王様、お助け下さい~」

「ケライーノではないか、どうしたのだ」


応えたのはキスキル・リラ。

ロック鳥の背に乗って付いてきたのだ。


「アレです、あのバケモノが森を燃やしているんです~」


るるる子ちゃんの視界に現れたのは。

足がモゾモゾ動いてる、デッカイ戦車みたいなの。

蜘蛛みたいで気もち悪っ。


「姉たちが迎え撃ってるのですが、全く歯が立ちません」

「何、アエローとオキュペテーが」


見るとケライーノさんと同じようなハルピュイアのお姉さんが飛んでいく。

デカイ戦車に石を放つ。

石を何処かから運んできたのだ。

それを敵に向かって上空から落とす作戦。


普通の人間の兵士なら大ダメージな攻撃だが。

多脚砲台には傷もつかない。

ハルピュイアに砲撃を返すのである。

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