第15話 死闘、勇者VS魔人


「キスキル・リラ様、二人を止めてください」

「ムリじゃ。

 アスモダイはワタシが言って止まるようなヤツじゃない」


召喚の巫女と魔王キスキル・リラ。

その前では勇者、るるる子ちゃんとアスモダイが戦っている。


るるる子ちゃんのストレートパンチ。

大男は受け止めても何食わぬ顔。

蹴りを返す。

るるる子ちゃんはサッと避ける。



「魔王様、あの大男は魔族。

 ならば、あなたの部下なのでしょう」


巫女のお姉さんが言う。


「まあ、そう言えなくも無いが。

 アスモダイ。

 アヤツはワタシの親族なのじゃ」


言われてて見れば。

アスモダイはカラダが大きくて目立たないが、背中にはコウモリの羽根。

頭部に赤い巻き毛、中から角が生えている。

確かにキスキル・リラと同様の特徴を持つ大男。


「本来ならアヤツが魔王になっていたハズなのじゃが。

 あの通り、戦闘狂でな。

 強いヤツを見るとケンカを吹っ掛ける。

 俺よりツエー奴に会いに行く。

 挙句の果てにはそう言って旅にでてしまったのじゃ。

 だから、ワタシに魔王の座が回ってきたのじゃな」


それは。

確かにキスキル・リラの言うコトなど聞きそうに無い。


「魔王様もタイヘンですね」

「分かってくれるか」


同情してしまう巫女のお姉さんである。



「エイッ」


るるる子ちゃんの回し蹴り。

アスモダイのボディに決まるけど。

大男は顔色も変えない。


「どうした、勇者。

 さっきの攻撃力はどうしたよ」


ニヤリと笑ってるるる子ちゃんにパンチを返すのだ。


アスモダイは迷惑な大男。

でもキスキル・リラのお仲間さんらしいし。

そんなにイヤな奴でも無さそう。

まだお怒りゲージだ溜まって無いるるる子ちゃん。


うーん。

本気を出して必殺技使わなきゃダメかな。



その時、声が響く。


「魔王様、大変です」


副将アブーである。

狐の頭部をした獣人、彼が駆け込んできたのだ。


「アブー、こちらもタイヘンなのじゃ。

 アスモダイと勇者が暴れておる」


アタシは暴れて無いもん。

この大男に襲われて、セイトーボーエイしてるだけだもん。


そう思うるるる子ちゃんである。


アブーはキスキル・リラの言う事に構わず叫ぶ。


「それどころじゃ無いのです!

 人間たちが境界を越え、攻め込んできたのです!!

 奴らは怪しげな機械で森を焼き払っております!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る