第7話 地元で買った中古車を東京でも乗り続けているオレは


 東京の何とか学園という町にオレは住んでいた。そして上田美穂がいる成増まで、バイクで十分ほど走った。地元で買った中古車を東京でも乗り続けているオレは、意外といい奴なのかもしれない。TWのバイクを駅近に置いて、お茶しながら日が暮れるのを待つ。ミスター・ドーナツなんかで、フレンチクルーラーを食べながら。


 日がまた暮れる。夜のヴァンパイアよろしく、オレは成増を歩き回る。熟女パブなんかのネオンが光っている。よく考えると、オレはこの駅前で今の部屋を見つけたのだ。不動産屋さんの女性は若く魅力的で、部屋が決まった後もオレはメールをしたりした。でも返事はない。ある日、オレが店に行ってみる。「彼女は?」「辞めました。」と平凡な東京男が答える。そうですか、オレは無愛想にドアを閉めた。それが東京の挨拶代りってわけだ。


「それで?」って妻は聞く。

「それでって?」と私はノートに書く。

「続き。」と妻が言う。

「ああ、考え中。」と私が書くと、妻は首を振る。

「考えなくても、いいんじゃない。」と彼女は言う。

「なんで?」私は書く。

「事実なんでしょ。」と妻。

「ま、そうだけど…」と私はノートに書く。

「バカ。」と言って妻は笑いながら向こうに行ってしまう。


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