第16話 りょ、料理様!?
私はスライムちゃんに『ヒナ』と名付けた。
どうやら気に入ってくれたみたいだね。
体いっぱいを使って喜んでいる様子は本当に可愛い。
「じゃあ、これで『従魔登録』は終わりだよ。いい名前付けてもらったね、ヒナちゃん!」
『きゅうっ!』
ここは天国課?そうだな?そうだよな。
はっ。取り乱しちゃったね。
「シリカちゃん、ありがとね。今日はもう帰るね」
私がそう言って帰ろうとすると、
「あ、待ってリーンちゃん!あとちょっとでシフト終わるからご飯でも行かない?」
なんとご飯のお誘いである。
今まで「友達とご飯」なんて夢のようなシチュなんか訪れなかった私はどう返したらいいのかわからず戸惑っていた。
行っていいんだよね?
こんな私でもいいんだよね?
「あれ、ダメか「行きます!うん、行こう!ご飯!」」
シリカちゃんが何か言おうとしてたのに、思いっ切り被っちゃった。
「シリカちゃん何か言おうとした?」
「んーんなんにもないよ!じゃ、待ってて!」
30分ぐらいして、受付嬢の制服から私服に着替えてシリカちゃんはやってきた。
「お待たせ~。じゃ、行こっか」
「うん、行こ!」
「服、めっちゃ可愛いね!どこのお店の?」
そう。シリカちゃんの私服、マジかわいい。
語彙力がどこかへ行くぐらいかわいい。
「あ、これ?可愛いでしょ?」
「こんど連れて行ってあげるね!」
「ほんと?ありがと!」
なんて話しながら歩いていたらすぐに目的地に着いた。
「ここは『キッチン・ツカモト』。異世界人の料理人さんがオーナーのお店なんだよ~。ほかのお店じゃ食べられないようなお料理ばっかりなんだよ!」
異世界人の料理、楽しみだね。
らっしゃいやせ~!
という威勢のいい声に出迎えられ、店の中に入る。
「ふぅ、美味しかったね、リーンちゃん!」
「うん!めっちゃ美味しかった!」
「それにしてもシリカちゃん、よくあの『お箸』?使えるよね。私には難しすぎて」
お店のメニューには『スシ』、『テンプラ』、『ラーメン』などなど名前も聞いたことの無いような料理名はズラーっと並んでいた。
でも、一番驚いたのはシリカちゃんがラーメンとやらを食べるときに使っていた二本の木の棒。
あれでどうやればあんなに上手に食べられるんだろう。
「お箸?あれは結構コツが必要かな~私も最近やっと使えるようになったんだよ!」
やっぱり慣れなのかな。
スキルでどうにかなればいいけど。
スキルに頼りすぎってのもダメだね。
やっぱり自分で頑張ろ!
「また食べに来ようね、リーンちゃん!ここでしか食べられないんだし」
「うん、そうだねシリカちゃん!また二人で来ようね!」
私はここでシリカちゃんに謝らないといけない。
それは料理を口に運んだ時だった。
『料理名:テンプラを≪料理≫で作成可能になりました』
って声が聞こえたから。
ここだけの味では無くなってしまったかも。
ごめんね、シリカちゃん。
それにしても一口食べてコピーとか……。
どこまですごいスキルなの?≪料理≫は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます