第15話 よし、これだ!
私が初依頼の達成の余韻に浸っているときに、対応してくれたお姉さんがシリカちゃんをこちら側に戻してくれていた。
「ほら、シリカちゃん、貴方のお客でしょ?」
「あ!ルーナ先輩!ごめんなさい!」
あのお姉さんはルーナさんと言うらしい。
「ごめんね!リーンちゃん!あまりにもびっくりしちゃって」
「いや、それは良いんだけど。あのルーナさん?が対応してくれてたし」
「それと、彼女って……」
彼女を見たらまず目に入るのは……。
「そうだよ、ルーナ先輩はエルフだよ」
「私と同じで冒険者しながら受付嬢もしてるんだよ~」
「魔法使いなんだけど、すごく強いんだよ」
それを聞いていたのかルーナさんはこちらに美しいウインクを飛ばす。
綺麗な人がすると絵になるもんですな。
「へぇ~。一緒に冒険してみたいね」
「うんうん!今度誘ってみようよ!」
きゅ!
私の足元からスライムちゃんの鳴き声。
きゅきゅきゅ!!
するとスルスルと頭に上ってきた。
そして私の頭をぷにぷにと叩く。
『私を放って楽しそうにしないでよ!』
そうそう、こう言うような感じで。
あれ……?今確かに声が……?
「え!?リーンちゃん!その可愛い子はどうしたの!?スライムだよね?」
そんな声に私の考えはかき消された。
「そうだよ。スライムの草原で
「
「リーンちゃんのスキルズルいね、ほんとに」
いいなぁ~と溢すシリカちゃん。
大丈夫、私自身も思ってるから。
「ま、それは置いといて、『従魔登録』もしとく?」
「『従魔登録』?なにそれ」
「『従魔登録』っていうのは、この子を
「多分、門のところで衛兵さんに止められたでしょ?」
あ、確かにさっき止められたね。
「うん、止められたよ。通してくれたけど」
「それは今回だけだね。スライムみたいな弱い魔物ならまだしも、ある程度強い魔物を連れてると証拠が必要になるからね」
「だから登録しておけば、それが証拠になるって感じかな」
なるほどなるほど。
確かにそれは便利かもね、さっきも証拠とか言われてたらヤバかったもんね。
「じゃあ、しようかな『従魔登録』」
ちょっと待っててねーと残してシリカちゃんはカウンターの奥へ。
その間、私はスライムちゃんと遊んでいた。
「おまたせ~リーンちゃん、その子と仲いいんだね」
「じゃ、リーンちゃん、この石板にギルドカードを置いて、こっちの石板に手を置いてね」
シリカちゃんが持ってきたのは三枚の石板。
カードを置く石板を中心に左右に一枚ずつ。
計三枚ワンセットで使う道具みたいだね。
「はい、スライムちゃん、左の石板に手を乗せてくれるかな?」
『きゅっ!』
と元気に返事をして、石板に乗った。
すると、私の石板とスライムちゃんの石板とが魔力の線で繋がり、それがカードの石板に流れ込んでいく。
数秒後。
「はい、大体は終わったよ」
「じゃ、メインイベント!名付けターイム!」
「『従魔登録』は最後に相棒に名前を付けてやっと終了するんだよ」
「可愛い名前付けてあげてね!」
「んー名前ね……」
私は生憎名付けの経験なんて無いから、どんな名前を付ければいいかわからない。
私は考えに考えた。
でも、結局は簡単な方に走ってしまった。
「よし、これだ!あなたの名前は『ヒナ』。あなたは今日からヒナだよ」
「よろしくね、ヒナ」
『きゅうっ!!』
喜びをめいっぱい表すようにヒナはいつもより元気に鳴いた。
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