第17話 お、おうちでーと!?
「ふ~お腹いっぱいだぁ」
私たちは『キッチン・ツカモト』で少し早い夕食を食べたあと、とくに行くあてもなくぶらぶら歩いていた。
「そうだね。これからどうする?シリカちゃん」
日は暮れ、辺りを夜光石が照らしていた。
「んーそうだね~もうちょっとここからの景色を見てようか」
さっきのはナシ。
シリカちゃんを夜光石が照らしていた。
「うん、そうだね」
シリカちゃんとの安らかな時間がゆっくりと流れていった。
「あ、そうだ!」
シリカちゃんがいきなり大声を出した。
「ど、どうしたの?」
そう言うと、肩に両手を置いてシリカちゃんは言った。
「リーンちゃんのステータスウィンドウ見せてよ!」
「あ、でも嫌だったら全然大丈夫だからね?」
なんだ、いきなり大声でして言うと思えばそんなことね。
普通ならステータスウィンドウを他人に見せることは無い。
一応スキルとかは個人情報だからね。
だからギルドでもそういう情報はしっかり、厳重に管理されている。
つまりは、よっぽど信頼できる人にしか、それこそ家族に見せるぐらいなんだ。
私は、今日。
今日初めて出会ったこの子には見せてもいいかなって思った。
別に、『受付嬢だから情報を漏らさないだろう』という考えではない。
ちょっと初めての友達で舞い上がってる感も否めないけど、でも。
でも、何故かこの子は信用できてしまう。
もしかして私ってチョロいのかなぁ笑
「いいよ、ステータスオープン」
そして、私は他者可視モードを選択した。
「おぉ!私のとは全然違う!ほら見て~ステータスオープン!」
なんでこの子はこんなに平然と見せられるんだろうなぁ。
私を、私と同じように今日一日だけでここまで信用してくれちゃってるのかぁ。
私の胸を熱いものが満たす。
「やっば!なにこれなにこれ!すごいよ!リーンちゃん!」
そんな私の胸中など知らず、子供のように尋ねるシリカちゃん。
「どれ?もっと見たいなら見せられるけど」
「んーじゃあ、さっき使ってた≪
私はウィンドウを操作して、≪
「このカスタムメニュー?ってのが進化によって増えたの?」
「そうだよ、これでいろいろな機能が追加されたんだよ」
「ん?リーンちゃんこの【異空間家屋】って言うのは何?」
お、それに目をつけたか。
「えっと、それはね、異空間に家を作るっていうスキルなんだけど……見た方が早いかな?」
口で説明するのは簡単だけど、やっぱり見た方が早いと思い私は【異空間家屋】を発動する。
「え?異空間に家……?」
戸惑うシリカちゃんを尻目に入り口を出した私はドアを開いて、シリカちゃんに入るように促した。
「ほら、入って」
「お、おじゃましま~す……」
シリカちゃんはおずおずといった感じでドアをくぐった。
私も続いて入ろうとして気づいてしまった。
私、今さらっと言ったけど、これっておうちデートとか言うやつなんじゃ!?
でも、デートは男女で行くもの。
でも女の子同士で遊ぶ時もデートって言うって本に書いてあった!
てか、この家今日初めて見たばっかで私もまだしっかり見れてないし、どうしよう!?
散らかってないよね?
てか、スライム放したまんまじゃん!
友達をおうちに呼ぶのも初めてなのにうわぁぁぁ!!
どうしよう、どうしよ!
ひ、ひ、ふー。
落ち着け私。
そだ、まずは先に入ったシリカちゃんを追わないと!
なんとか自分自身を落ち着かせて、私もドアをくぐった。
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