第7話 さぁ、料理革命だ!!
「ん……。ん?今何時?」
≪目覚まし≫の端の時計を見る。
「え!?7時じゃん!」
やばっ、寝坊したぁぁ!
なんで!?≪目覚まし≫鳴らなかったよね!?
もしかして、一回起きちゃったらもう一回セットしなきゃダメなの?
え、説明見てみよ。
ふむふむふむ……なるほど。
≪睡眠≫の中の≪二度寝≫は一回使うと≪目覚まし≫のアラームが無効になるらしいね。
なんだよ、そのめんどくさいの。
あー次からは気をつけなくちゃなぁ。
ってこんな事してる場合じゃない!早く着替えないと!
リーンの頭から昨日見た変な夢の事はすっかり抜け落ちていた。
──────
ドタドタドタと、階段を下りてくる音が聞こえる。
やっと起きたみたいだね。
「おはよう、リーン」
「まだゆっくり寝ていても良かったのに」
俺は慌てた様子の彼女に声をかける。
「寝坊しちゃった。ごめん!急いでご飯作るね」
うわぁ~間に合うかなぁ。と言いながら彼女は急いでキッチンへ向かう。
その後ろ姿は相変わらず可愛い。
俺が彼女を採用した理由の一つにそこも入ってはいる。
こんなかわいい見た目をしておいて、ちょっとキツい所があるのもなお良いよね。
うんうん。
それに今日みたいにおっちょこちょいな所もプラス評価だね。
こんな子だからこそ、俺はこの子に手を出さなかった。いや、出せなかったの方が正しいかな?
別に、辞めた他の子が悪かったとかじゃ無くて、ただ単純に俺はリーンを気に入っていた。
ただそれだけの事。
ここまでくると我ながらキモいな。
うん、やめよう。
はい!おしまい!
こんなこと考えていたら美味しそうな朝食が3人分運ばれてきた。
いつもより美味しそうだ。
今日もこの美味しい朝食を楽しむとしよう。
──────
急いで階段を駆け下りた私はとりあえずフォイルに謝って、朝食を作りにかかる。
「うわぁ~間に合うかなぁ」
フォイルが家を出る時刻までそう時間がない。
とりあえずスキルを使って作るんだけど……。
そこまで考え、手を動かして私は気づいた。
スキルが進化したわけだからそりゃ料理がしやすいのだけど、思ってた以上に作業がしやすい。
というか、これは……。
「卵を焼く時間までもが縮まってない!?」
作業の手際の良さの次元じゃない気がする。
調理時間そのものが縮まるとしたら?
本来数時間かけて作る手の込んだ料理さえもものの数分で出来てしまうことになるからね。
初めてスキルの進化を実感した気がするよ、私。
「フォイル、お待たせ!出来たよ!」
「ごめんね、寝坊しちゃって」
多少の時間短縮のおかげでなんとか間に合ったみたい。
今度から気を付けないとなぁ……。
「いいよいいよ、それでリーンたちの分は?」
「あ、私のは後で作るよ。今はフォイルの分を急がなきゃって思って」
「それはありがとう」
そう言ってフォイルは目玉焼きを一口。
瞬間、フォイルの目が見開かれた。
「これ、すっごく美味しいよ!」
「それは良かった。作った甲斐があるってもんだよ」
ま、スキルのお陰なとこもあるけどね。
フォイルを見送り、掃除をいち早く終わらせた私はキッチンに立つ。
それはもちろんスキルの力を試すためにね。
「なに作ろっかな~♪」
やっぱ煮込み系かな?
時間短縮がどんなものか見てみたいし!
その日の夜。
帰ってきたフォイルの目の前に広がっていたのはリーンがつい作りすぎてしまった煮込み料理の数々だった……。
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