安寧
女神像との戦闘で俺はふらふらだった。調子に乗ってCodeを使うんじゃなかった。
周りにはまだ、土の獣が荒野を闊歩していやがる。あのケタケタとした笑い声がまだ耳に残ってる。軽くトラウマになりそうだ。
唐突に俺は足に痛みを感じた。何があったのか?足をみると、羽がない拳くらいの巨大な蚊が付いていた。その口は針金のように固く鈍く光り、俺の足を貫いていた。
「ちっ」
迂闊だった。急いで、蚊を鷲掴みにし、握りつぶした。案外、簡単に潰れた。自分の手は、蚊と自分の赤と黒が混じりあった液体と、小さなキューブが残った。
現状を打破するためのアイテムがないか、キューブのコンソールを開くが紙で包まれた飴が一つだけがキューブを圧迫していた。しけていやがる。まっ気晴らしにはなるか。飴を取り出し口に放り込み、キューブをポイっと捨てた。
足からは血がとめどなく垂れている。
「はぁ...」
俺はため息をつき、ポーチからキューブを取り出し、止血剤と包帯を取り出し応急処置を施した。
飴の不思議な甘さと痛みで正気を辛うじて保たれている。
「ここら辺で休むとするか。」
周りには土の獣がまだいるが、背に腹は代えられない。
否応なく、俺はキューブからトーチとテントを取り出し、野営の準備をする。
ひとまず、トーチを張っている間は襲われることはなかった。トーチを起動し、暫定的だが安全を確保した。中に先ほどの蚊などの入り込んだ獣がいないことを確認し、テントを立てた。
俺の腹時計はまだ正午を伝えてないが、眠ることにした。疲れた。安全な場所で休息を得たい。
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俺は街にいた。といっても、獣の襲撃で建物は崩壊し、人気がない。人の形をしたものなら、地面に転がっているが。
そして、俺は刀を降っていた。闘っていた。対峙しているのは、赤色のローブを羽織った二足歩行の◆◆◆◆だ。認識不能なアンノウンな存在だ。獣かそれとも人かわからない。
アンノウンは長杖を持ち、俺の攻撃をガードし、弾き、カウンターを叩きこもうとしていた。
俺は弾かれた反動でバランスを崩し、み・ぞ・お・ち・にもろに杖を受けてしまい、その場で膝から崩れ落ちた。
アンノウンは躊躇なく脳天に長杖を振り下ろした。
赤い花が咲いた。
頭が弾け飛び、永遠の眠りに着いた。
ア・ン・ノ・ウ・ン・が
アンノウンの後には人が立っていた。はっきりと認識できた。女性だ。
女性の片手にはハンドガンが握られて、煙を上げいていた。その煙がアンノウンを倒したことを示唆していた。
「助かった。君はいったい?」
少女は笑った。
「けたけたけたけたけたけ」
と。
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俺は跳ね起き、刀に手を伸ばし外に飛び出た。
俺のテントの周りには土の獣が集まり、ケタケタと笑っていた。
俺の目覚めは最悪だった。
そして、
ズシンッとオレンジ色の空から例の女神像が降ってきた。
「夢なら覚めてくれ。」
「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆」
女神像はトーチを無視して、俺のテントに向けて、手を叩きつけて来た。
俺は急いで、キューブを起動して、キューブの中にテントを収納した。
このテントだけは壊されたくなかった。
俺はテントが入ったキューブをポーチに入れ、刀を鞘のまま両手に持ち、女神像の攻撃に備えた。
女神象の手の平が刀越しに重くのしかかる。
足がズシンと痛み、血が噴き出した。
痛みで頭がクラっとした。
「ぬおぉぉぉっっ!!」
俺は叫び声をあげ、刀を傾け、前に駆けだした。
女神象の腕越しに前に進み、トーチより下になるように体を滑らせた。
女神像の腕はトーチに支えられて、俺は潰されることはなかった。
が、この女神像は前の奴より賢いみたいだ。俺の目の前にはもう片方の女神像の手が俺を掴まんと迫っていた。
俺は鞘から刀を抜き放ち、トーチで支えられている女神象の腕を切り裂いた。土で出来た腕は容易く切れ落ちた。
「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆」
女神像は『音』をあげ、無事な片方の腕で切れた手を抑えた。
俺は落ちてくる腕を回避するするために、トーチを掴み体を前にずるずると這い出た。
女神像はすぐに周りにいた獣を掴もうとしていた。
俺は、女神像に背を向けて、走った。ポーチからキューブを取り出し、スモークグレネードを何個か取り出し、安全ピンを抜き、足元に転がした。
煙に紛れ片足の痛みを無視してひたすら走った。
ドンッ
俺の前に土獣の口が唐突に現れ、地面に落ちた。女神像がこちらに投げて来たものだ。
獣は崩れて土に戻ってキューブが露わになったが無視した。
最初の女神像と戦闘は控えるべきだったと後悔しながら、俺は荒野を無我夢中で走った。
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