第5話 せっかち先生と病院の事情

私が診察室に入りきる前に、一通りの話をした先生。かーなーりー。せっかちさんではなかろうか。


私はとりあえず、先生の前に座る。

「えー。検査はいつがいいか看護師と話してもらっていいですかね?」


って、先生早い。話が早すぎる。

私としては、どんな状態ですか?とかお手紙によると…とか、いや、手紙は大したこと書かれてなかったから、どうかと思うけど、何かもっと親身になって話を聞いてくれない?


「あの、やっぱり手術ですよね。」

だから、私も手術しなきゃいけないんだろうと考えているのに、そんな事を聞いてしまう訳ですよ。


「…。手術したいんですよね?」

ほら。そんな返事だし。わかっているんです。

「はあ。そうなんですけど、今まで小さくならないかな、といろいろ頑張ってきたので、確認したいというか。」

「大きいですからね。」

「…はい。」

「この大きさではもう小さくなりませんよ。」


病院の先生はもっと患者の話を聞く、という勉強をした方がよいのではないかと思う。

患者に寄り添うとか、重要じゃないの?

先生にとってはよくある話かも知れないけれど、私にとっては青天の霹靂の大事件…。


「手術はした方がいいと思っています。」

なんとなくへらっと笑いながら答える。

先生責めてもいかん事はわかってるんだけどね。


「では、手術は検査が終わり次第にしましょうか?約1ヶ月後位ですかね。」

「1ヶ月後ですか?!」


早い。いや、早くないの?

って、今から検査までそんなに時間かかるもんなの?


「血液検査に1回、脚のエコーに1回、MRIに1回、後手術前の説明に1回…。」

「え?先生、そんなに何回も検査に来ないといけないんですか?」

だって、私、普通に正社員として働いているので、週1で受診の為にお休みを要求するのはさすがに気がひける。


「1日で全ての検査をしていただく事はできませんか?できれば。仕事もありますし…。」

私が慌てて尋ねると、せっかち先生ははっきりと答えた。


「病院の都合ですが、何回かに分けて来てもらうルールです。病院が貰える検査費用の関係もあるので、まとめてする事はさけてます。」


病院が貰える費用…。

先生、せっかちな上に正直すぎじゃない?

確かに、病院も儲からないといけないでしょうが、まとめて検査したい。


「1回につき、1つの検査何ですか?」

「はい。」

「…そうですか。次回来れる日を看護師さんと話すんですね。」

「はい。では、お願いします。」


先生。早い。

まだ5分たってない。

でも、仕方ないのね。病院のシステムもつれない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る