第4話 この先生大丈夫…だよね?
この総合病院を選んだのは、自宅から一番近いからという理由だけだった。
手術をするのであれば、家族には迷惑をかけてしまう事は必須なので、なるべく近い所が良かった。
主治医から手術する病院にあてた手紙は、封筒の後ろの部分から、そっと開けた。開けた事が気付かれないように最新の注意をはらう。
だって、私の事なのに、何て書いてあるか知る権利あるよね。
何だかちょっと後ろめたくはあったが、躊躇はしなかった。
『診断名 巨大子宮筋腫』
…巨大。診断目に巨大とかついてるものなのかしら。
結論、診療情報提供書という名のお手紙は、期待に反して凄くシンプルだった。
本当に5行位。
最初の挨拶と最後のよろしくお願いします、を外したら3行じゃない?
とりあえず『巨大子宮筋腫』というインパクトと手術適応という文言だけが光っていた。
総合病院の婦人科は明るい雰囲気だった。
『新規患者受付』とかかれた窓口で受付をすませ、待合室で待っている私の周りには大勢の患者達が待っていた。
(こんなに沢山の病人がいるんだな。)
何というか。
昨日と同じ今日なのに、今日私は病人だ。
さっきから待合室のモニターには、診療科ごとに一番偉いであろう先生方が映し出されている。
年間の手術数とか、方針とか、何とか。
先生達の笑顔が胡散臭い。
「128番さん2番診察室にどうぞ」
マイクから番号が呼ばれる。
128番は私だ。
恐る恐るドアを引いて中に入った。すぐ目の前にはイスがあり、机に向かった中年男性の先生がいた。
直後、先生が話しかけてくる。
「はい。子宮筋腫でかなり大きいですね。手術の前に検査になりますので、今から3、4回は検査に来ていただく事になります。検査は予約になりますので、受付でして帰って下さい。」
…パタン
先生、今やっと私の後ろでドアが閉まったのですが。
「あの…。」
「はい。」
「…座って宜しいの、でしょうか?」
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