1-13 相談

「ごめんね、今まで黙ってて」

夕飯が済んだ後、玲花は今日あったことを由佳に話した。由佳はもちろん、驚くことなく玲花の話を静かに聞いていた。

「札木家の人たちがみんな不運な死に方をするっていうのは私も聞いていたの。愛依と暁優さんの死に方もすごく不自然なものだったわ。だけど私たちは幼いあなたを怖がらせたくなくて……真実を言い出せないままにここまできてしまったの」

 たしかにそんな複雑な事情、説明するのは難しいだろう。

「謝らなくていいよ、由佳ちゃん。説明されたところで多分理解できなかっただろうし」

 玲花は由佳や祖父母を責めるつもりはさらさらなかった。

「それで、封戸さんの話だけど。玲花はどうしたい? 」

 封戸さんのところでお世話になるかどうか。やっと慣れてきた新生活なのに、また新しい場所へ行かなきゃいけないというのが、玲花としては億劫ではあった。しかし……

「私が狙われてるってことは、ここにいる以上、由佳ちゃんも危険な目に合わせてしまうかもしれない。そう考えたら私は封戸さんのところに行った方がいいのかなって」

「そうだね……玲花は探偵事務所にお世話になった方がいいかなって私も思う。だって襲われても私にはどうすることもできないもの。私は能力どころか、幽霊すら見えないからね」

 2人の意見は一致しているようだ。

「それにしても、自分が一番危険な状況なのに、人の心配するなんて、ほんと玲花は暁優さんに似たんだね。愛依も暁優さんのそんなところに惚れてたみたいだよ」

 お父さんは本当に優しい人だったんだと玲花は思った。きっと生きていたら、玲花にも優しくしてくれたんだろうなと、少しだけ切ない気持ちになった。

「でも優しすぎるのは悪い人に漬け込まれやすいの。人に気を配るのもいいけど、まずは自分を大切にね」

 じゃあ、封戸さんのところへ行く準備をしよっかと言うと、由佳は座っていた椅子から立ち上がった。玲花もそれに続いた。

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