「おや。こんなところで誰かに会うなんて」

 フードを深く被っているせいで、男の顔はよく見えなかった。

「あなたは誰?ここがどこか、知ってるの? 」

 少年は男に聞いた。

「名乗るほどのものじゃない。ここがどこかって?そうだな……言ってみれば現世からあの世へと続く道、ってところかな」

「そうだ……僕、死んじゃったんだっけ……」

 そこでようやく、少年は自分が死んでしまっていることを思い出した。

「じゃあ僕はもう……おうちに帰ることが出来ないの……? 」

 少年の目から大粒の涙が流れた。

「おぉおぉ。こんなに若くして死んでしまうとはかわいそうに」

 男は涙を流す少年の肩をさすってやった。

「お父さん、お母さんは大丈夫かな……僕のそばでいつも看病してくれて……それなのに僕が死んじゃって……ショックを受けてるんじゃないかな」

「自身のことより自分の両親の心配をするとは、なんて優しい少年だ。そんな君に、おじさんが力を貸してやろう」

「え? 」

「俺ががお父さんとお母さんに会わせてあげよう」

 フードの奥の男の口元は笑っていた。

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