第3話 マリウス爆誕
「あぎゃぁあっぁぁ、あやあぁぁあっぁぁ。」
とある夫婦の間に産まれた二人の赤子。
先に産まれた兄、後に産まれた妹。
「おぉ!無事に生まれたか!」
赤子の前で喜びを明らかにする男性。
興奮して今にも飛び掛かっていきそうな勢いである。
男性の脇には女性が二人おり、彼の腕を掴んで取り押さえていた。
「あぁ、無事生まれましたよ、二人共元気な産声をあげてますよ。」
双子を産んだ女性は、男性に向かい出産の苦痛も見せずに微笑ながらも声を掛けた。
(あれ。誰この美男美女。ってもう生まれ変わってるのか。)
先程次の輪廻と言われたばかりの真賢は、休むことなく次の生を受ける。
実際はそれなりに時は要しているのだけれど、地球での生と輪廻転生したこの世界の生は全くの別物。
時の流れもまた別のものだった。
輪廻の輪を廻るための遍路では意識もなく通ってきたために、本人としての時間的感覚は皆無であるため、もう生まれ変わったのかという感覚になってしまう。
そして120歳で往生したわけだが、心の中の思考は10代中頃~後半のものとなっていた。
さらに、前世となる真賢としての記憶等は輪廻の神っぽいお方のサービスなのか、産まれたてだというのに既に思考する事が出来ていた。
「男の子はマリウス、女の子はマリーネだ。」
双子の名前は炎と闇の魔法戦士ユリウスから、水と光の聖者マリンからそれぞれ取られている。
「今考えたように言ってますけど、前に二人して徹夜で考えた名前ですけどね。」
「しかも昔の英雄になぞらえる形で取ってるから、完全オリジナルじゃないですけどね。」
母親は是もない言葉で言うが、二人で納得して子供のために付けた名前なのだからそこは誇っても良い事である。
美男の方は父親マティアス、美女の方は母親イリス。
爆炎の魔剣士と呼ばれていた父、虹色の魔導士と呼ばれていた母。
それを子供らが知るのはもう少し後の話。
(とんでもない家庭の子に産まれちゃったな。)
輪廻転生を果たした真賢ことマリウスは隣に寝かされている双子の妹・マリーネを見て私案した。
妹を見ているとその妹の瞳が自分を見ているような気のするマリウス0歳児だった。
(まさか……ね)
とんでもない家庭の子とマリウスが考えていたのは、この時はとんでもない美形の間に産まれてしまってハードルが高いなという意味で私案していたのだが……
その実はとんでもない高貴な家庭に産まれてしまった事と気付くのは……もう少し経ってからの事である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます